ロサンゼルス・エンゼルスは、なぜ勝てないのでしょうか。
大谷翔平選手やマイク・トラウト選手という、球史に残るスーパースターが2人も在籍していたにもかかわらず、チームは長年低迷を続けています。
ファンの間では「呪われている」とまで言われることもあります。その原因は一体どこにあるのでしょうか。

単なる戦力不足なのでしょうか、それともチーム内に何か問題があるのでしょうか。
本記事では、エンゼルスが弱いとされる原因について、大谷選手が在籍していた時代とその前後での成績の変化、専門的な視点から見たチーム構造の問題、そして噂される人間関係やファンの生々しい声まで、一次情報をもとに徹底的に調査します。
エンゼルスが弱い原因にいじめ?大谷時代の前後で変わった?

エンゼルスの弱さの背景には、単に「運が悪かった」では片付けられない、根深い問題が隠されているようです。
ここでは、まず客観的な成績データからチームの現状を把握し、専門的な視点から考えられる構造的な弱さの原因を2つ、深く掘り下げていきます。
本当に弱いの?成績や大谷選手在籍時代で変わった?
結論から言うと、エンゼルスは客観的なデータから見ても長期間にわたって弱いチームであると言えます。
ポストシーズン(プレーオフ)進出は2014年が最後で、それ以降10年以上も遠ざかっています。

さらに深刻なのは、2016年シーズンから9年連続でレギュラーシーズンの勝率が5割を下回っており、いわゆる「負け越し」が常態化してしまっている点です。
多くのファンが期待したのは、大谷翔平選手が加入した2018年以降のチームの躍進でした。
大谷選手は投打にわたって歴史的な活躍を見せ、2度のMVPに輝くなど個人の成績は最高のものでしたが、その活躍がチームの勝利に結びつくことはほとんどありませんでした。
大谷選手が在籍した6年間(2018年~2023年)で、チームの勝率は一度も5割を超えることがなく、地区順位も3位が最高と、プレーオフ争いに加わることすらできなかったのです。
この事実は、「野球は一人では勝てない」というスポーツの鉄則を改めて示すものでした。
大谷選手という傑出した才能がありながらも、チームとしては機能不全に陥っていたことが、以下の成績表からも見て取れると思います。
| 年度 | 大谷翔平選手 | 順位(AL西地区) | 勝利 | 敗戦 | 勝率 | ポストシーズン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2018 | 在籍 | 4位 | 80 | 82 | .494 | 進出ならず |
| 2019 | 在籍 | 4位 | 72 | 90 | .444 | 進出ならず |
| 2020 | 在籍 | 4位 | 26 | 34 | .433 | 進出ならず |
| 2021 | 在籍 | 4位 | 77 | 85 | .475 | 進出ならず |
| 2022 | 在籍 | 3位 | 73 | 89 | .451 | 進出ならず |
| 2023 | 在籍 | 4位 | 73 | 89 | .451 | 進出ならず |
| 2024 | 退団後 | 5位 | 63 | 99 | .389 | 進出ならず |
| 2025 | 退団後 | 5位 | 72 | 90 | .444 | 進出ならず |
大谷選手が退団した2024年には、球団ワーストに迫る99敗を喫するなど、チームの低迷はさらに深刻化。
このデータは、エンゼルスの問題が特定の選手一人に依存するものではなく、もっと根深い構造的なものであることを示唆しているのです。
弱い理由1:選手育成システムの機能不全と投資不足のため

エンゼルスが長期的に低迷している最も根源的な原因は、選手育成システム、いわゆるファーム組織が全く機能していないことです。
有望な若手を自前で育て上げ、メジャーリーグの舞台に安定して供給することが、強いチームを作る上での絶対条件ですが、エンゼルスはこの点で他球団に大きく後れを取っているのが現状なのです。
元球団スタッフらへのインタビューからは、球団の育成に対する投資不足が浮き彫りになっています。
例えば、春季キャンプの施設はアリゾナ州内で最も古い部類に入り、他球団が積極的に導入している最新のデータ分析機器やテクノロジーの導入も非常に遅れていました。

ある元コーチは「2019年以前は何もなかった」と証言しており、科学的なトレーニングや育成が軽視されていた様子がうかがえます。
マイナーリーグに所属する若い選手たちの環境も劣悪で、最近まで遠征先で相部屋を強いられるなど、プロとして野球に集中できる環境が整っていませんでした。
こうした育成への軽視は、オーナーであるアート・モレノ氏の倹約志向が原因だと指摘されており、一部メディアからは「諸悪の根源」とまで言われています。
| 比較項目 | ロサンゼルス・エンゼルス | ロサンゼルス・ドジャース(比較対象) |
|---|---|---|
| 自前育成の球宴選手数(過去10年) | 3人(トラウト選手含む)です。 | 10人です。 |
| 球団職員数(スカウト・分析等) | 約43人です。 | 約79人です。 |
| 国際スカウトの体制 | 人数が少なく、一時解雇もありました。 | 充実したグローバルネットワークを持っています。 |
このように、チームの土台となるべき育成部門への投資を怠ってきたことが、チーム全体の層の薄さを招き、スーパースターの個人技だけでは補えない弱さに繋がっていると考えられます。
オーナーの現場介入と一貫性のない補強戦略のため
もう一つの大きな原因は、オーナーであるアート・モレノ氏の現場への介入と、長期的ビジョンを欠いた一貫性のない補強戦略にあります。
ファンやメディアからは、モレノ氏のその場しのぎの判断が、チームを何度も破滅に導いてきたと厳しく批判されているのです。
その最たる例が、2023年シーズンのトレードデッドライン(シーズン中の選手移籍期限)での判断で、当時、チームはプレーオフ進出の可能性が低い状況でしたが、モレノ氏は大谷翔平選手をトレードで放出することを拒否し、逆に若手有望株を放出してまで補強を行う「買い手」に回ることを選択しました。
この決断は、大谷選手を引き留め、プレーオフ進出という僅かな可能性に賭けるものでしたが、結果は最悪でした。
チームは失速してプレーオフ進出を逃し、補強で放出した若手有望株も失い、そしてシーズンオフには大谷選手がFAでドジャースへ移籍してしまったのです。

まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」を地で行く結果となり、ファンからは「考えうる最悪の展開」と酷評されました。
こうした場当たり的な戦略は今に始まったことではありません。
過去にも高額な長期契約で獲得したベテラン選手が、怪我や不振で全く活躍できないケースが頻発しています。
ファンを対象にしたアンケート調査では、実に74.2%もの人が「エンゼルスに競争するための計画があるとは思わない」と回答しており、これはフロントに対する根深い不信感の表れと言えるでしょう。
| 近年の主な戦略と結果 | 内容 | 結果・評価 |
|---|---|---|
| アンソニー・レンドン選手との契約 | 2020年に7年総額2億4500万ドルの大型契約を結びました。 | 移籍後は怪我に悩まされ、期待された成績を残せていません。 |
| 2023年の買い手戦略 | 大谷選手を残留させ、プレーオフ進出のために若手を放出して補強しました。 | プレーオフ進出に失敗し、大谷選手も若手も失う最悪の結果になりました。 |
| 球団売却の撤回 | 2022年に一度は球団を売却する意向を示しましたが、2023年に撤回しました。 | ファンの希望を打ち砕き、オーナーへの不満をさらに高めることになりました。 |
結局のところ、明確な再建計画を持たず、目先の勝利や人気取りに固執するオーナーの姿勢が、チームを長期的な低迷から抜け出せない袋小路に追い込んでいる最大の原因だと思われます。
ちなみに以下の表は、2025年シーズンのエンゼルスと主要な比較対象チームの成績をまとめたものです。
| チーム名 | 所属 | 順位 | 勝利 | 敗戦 | 勝率 | 得点 | 失点 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロサンゼルス・エンゼルス | AL西地区 | 5位 | 72 | 90 | .444 | 673 | 837 | -164 |
| ミルウォーキー・ブルワーズ | NL中地区 | 1位 | 97 | 65 | .599 | 806 | 634 | +172 |
| トロント・ブルージェイズ | AL東地区 | 1位 | 94 | 68 | .580 | 798 | 721 | +77 |
| ロサンゼルス・ドジャース | NL西地区 | 1位 | 93 | 69 | .574 | 825 | 683 | +142 |
| シアトル・マリナーズ | AL西地区 | 1位 | 90 | 72 | .556 | 766 | 694 | +72 |
| コロラド・ロッキーズ | NL西地区 | 5位 | 43 | 119 | .265 | 597 | 1021 | -424 |
この表から、エンゼルスの勝率.444が、MLB最高勝率のブルワーズ(.599)や、同じカリフォルニアを本拠地とするドジャース(.574)に大きく劣ることがわかります。
得失点差+172を記録したブルワーズとは対照的に、エンゼルスの-164という数字はチームの総合力の低さを如実に示しています。
仲が悪い?いじめの噂も?

ファンの間で囁かれる「いじめ」や「人間関係の不和」については、それを直接的に証明する決定的な証拠は見つかっていませんが、チームの雰囲気が常に良好であったとは言えない、いくつかの気になる情報が存在します。
一つは、大谷翔平選手がエンゼルスに加入した当初、一部のベテラン選手から不満の声が上がっていたという報道で、二刀流という前例のない挑戦に対する懐疑的な見方や、メディアの注目が若手選手に集中することへのやっかみがあった可能性が考えられます。
ただし、この問題は時と共に解消されたようで、通訳だった水原一平氏が解雇された後、大谷選手がチームメイトと直接コミュニケーションを取る機会が増えたことで、逆にチーム内での尊敬を集める存在になったと報じられています。

ドジャース移籍後には、かつてのチームメイトであるクレイトン・カーショー選手らがスタンディングオベーションで大谷選手を迎える場面もあり、最終的には良好な関係が築かれていたことがうかがえます。
一方で、チームの雰囲気に暗い影を落とした深刻な事件も実際に起きていて2019年、当時現役投手だったタイラー・スカッグス氏が遠征先のホテルで急逝した事件も有名です。
その後の調査で、球団の広報部長だった人物が選手に違法な薬物を提供していたことが発覚し、有罪判決を受けるというスキャンダルに発展。
マイク・トラウト選手が裁判で証言台に立ち、涙ながらに親友の死について語る場面もあり、この事件がチームに与えた精神的なダメージは計り知れないものがあったと思われます。
| チームの雰囲気に関する出来事 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| ベテランからの不満? | 2018年頃 | 大谷選手入団当初、一部ベテランから声があったと報じられました。 |
| スカッグス投手の急逝事件 | 2019年7月 | チームに大きな衝撃と悲しみをもたらし、球団職員の逮捕にまで発展しました。 |
| 水原氏解雇後の変化 | 2024年3月以降 | 大谷選手がチームメイトと直接対話するようになり、より深い関係が築かれたとされています。 |
結論として、「いじめ」という単純な言葉で片付けられる問題ではなさそうですが、前例のないスター選手の加入による軋轢や、球団を揺るがす不祥事など、チームの一体感を損なう要因が複数存在していたことは事実であり、それがフィールド上のパフォーマンスに全く影響しなかったとは言い切れないでしょう。
エンゼルスが弱い?なんJ・海外の反応を徹底調査

エンゼルスの弱さに対するファンの反応は、日本と海外、そして応援する熱量によって大きく異なり、まさに愛憎入り混じった複雑な様相を呈しています。
なんJ(日本の匿名掲示板)や海外のSNS、ファンフォーラムでの声を調査したところ、その意見は大きく3つに分類できました。
批判・憤慨の声(約70%)
最も多いのは、球団、特にアート・モレノオーナーに対する強烈な批判と憤りの声です。
大谷翔平選手がドジャースでポストシーズンの大舞台で活躍する姿を見て、
といった、非常に辛辣なコメントが殺到しました。
エンゼルスに在籍すること自体を「監獄」「懲役」と表現するファンも少なくありません。
オーナーに対しては「史上最悪の球団」「モレノよくたばれ」「球団を売れ」といった直接的な罵声が浴びせられており、ファンの怒りが頂点に達していることがわかります。
擁護・功績を評価する声(約20%)
一方で、少数ながらもエンゼルスを擁護する意見も存在します。
日本のファンからは、「そもそも二刀流という無謀な挑戦をメジャーリーグの舞台で最初に受け入れ、実現させてくれたのはエンゼルスだ」という功績を評価する声が上がっています。
もし最初からドジャースのような常勝軍団に入っていたら、二刀流の機会は与えられなかったかもしれない、という見方です。
日ハムが種を蒔き、エンゼルスが育て、ドジャースで花開いた、という成長の過程として捉えるファンもいるのです。
諦め・無関心の声(約10%)

長年の低迷に疲れ果て、「もう野球は一生見ない」とファンであることをやめてしまう人や、チームに対する情熱そのものが失われてしまった「アパシー(無関心)」の状態に陥るファンもいます。
あるファンサーベイでは、回答者の数が前年の約半分にまで激減しており、これはファン離れが深刻化しているデータ的な裏付けと言えるでしょう。
以下に、なんJや海外フォーラムで見られた代表的なファンの声をまとめました。
向いている人

これまでの分析を踏まえると、エンゼルスというチームを応援し続けることは、決して万人向けではないかもしれませんが、だからこそ楽しめるという人もいるはずです。
以下のような考え方を持つ人は、エンゼルスファンに向いていると言えるかもしれません。
- チームの勝敗以上に、特定の選手の成長物語を追いかけたい人
- 常勝軍団の完成された野球よりも、発展途上のチームの危うさや儚さを楽しみたい人
- 将来のスター候補である若手選手(プロスペクト)の発掘や成長過程を見守るのが好きな人
- 「いつかこのチームが再建され、強くなる日を夢見る」という長期的な視点で応援できる人
- アナハイムという地域そのものに愛着があり、地元のチームを支えたいという気持ちが強い人
- 野球のデータ分析や、チーム経営の難しさ、フロントの戦略などを考えながら観戦するのが好きな人
Q&A
- 大谷翔平選手とマイク・トラウト選手という、歴史的なスーパースターが2人もいて、なぜ勝てなかったのですか?
それは、野球が9人(DH制を含めるとそれ以上)で行うチームスポーツだからです。2人の個人成績は素晴らしかったのですが、チーム全体としては多くの問題を抱えていました。具体的には、①投手陣、特に試合後半を任されるリリーフ投手が弱く、リードを守りきれない試合が多かったこと、②下位打線が「自動アウト」と揶揄されるほど機能せず、得点力が著しく低かったこと、③2人以外の主力選手に怪我が多く、ベストメンバーで戦える期間が非常に短かったこと、などが挙げられます。これらの弱点を、2人のスーパースターの活躍だけではどうしても補いきれなかったのです。
- エンゼルスファンは、大谷選手が去った後もチームを応援し続けているのですか?
ファンの反応は人それぞれで、一概には言えません。大谷選手の活躍を追いかけてエンゼルスファンになった日本のファンの多くは、大谷選手と共にドジャースファンに移行したと考えられます。一方で、地元アナハイムには、特定の選手に関わらず何十年もチームを応援し続けている根強いファンももちろん存在します。ただし、ファンサーベイの回答者数が激減しているデータが示すように、長年の低迷によってチームへの関心自体が薄れてしまう「アパシー(無関心)」の状態が広がっていることも事実です。
- オーナーのアート・モレノ氏は、なぜそこまでファンから嫌われているのですか?
理由は複数ありますが、大きく3つに集約されます。1つ目は、経営判断のミスです。特に2023年に大谷選手をトレードに出さず、結果的に何の見返りもなくFAで流出させてしまった判断は、チームの未来を考えない最悪の失策だと見なされています。2つ目は、ファンへの裏切りです。一度は球団を売却すると発表してファンに希望を持たせたにもかかわらず、それを一方的に撤回したことで、多くのファンを失望させました。そして3つ目は、投資への消極的な姿勢です。選手育成や施設への投資を怠っていることがチーム低迷の根本原因だと考えられており、利益を優先してチーム強化を怠る「諸悪の根源」として、ファンからの怒りの矛先が向けられているのです。







