小説「家畜人ヤプー」ですがトラウマや怖いなどの感想を持つ人もいるようです。
今回はそんな声や海外の反応を調査しました。
（出典：：Google）
家畜人ヤプーが怖い？トラウマとの声はなぜ？
家畜人ヤプーが読者に与える影響は、その生々しい描写と強烈なテーマにあります。
物語の中で展開される非人道的なシーンや、人間の尊厳が踏みにじられる様子は、多くの読者にとってトラウマになり得るほどの衝撃を与えます。
描写の生々しさが気持ち悪い？
家畜人ヤプーの中で繰り広げられる、主人公である瀬部麟一郎をはじめとする家畜人たちの日常は、読者に衝撃を与えるほどの生々しさがあります。
以下のように経験する屈辱や苦痛のシーンは、単なるフィクションの枠を超えて、私たちの倫理観に深い疑問を投げかけるものです。
- 日本人が「ヤプー」と呼ばれる家畜として扱われ、白人支配層のために便器や椅子などの「人間家具」に改造される
- 瀬部麟一郎は、婚約者であるドイツ人女性クララと共に未来の宇宙帝国「イース」に連れて行かれ、その後、クララが瀬部麟一郎（ヤプー）を完全に支配する立場に変わっていく
- ヤプーは白人主人の排泄物を処理する役割を担う
※未来帝国「イース」では、白人が支配階級、黒人が半奴隷、そして日本人が完全な家畜（ヤプー）として扱われる
瀬部麟一郎が直面する精神的な圧迫感や、身体的な苦痛は、読者にとっても容易に想像できるものではないでしょうか。
性的・暴力的な描写が多いため、万人向けの作品ではありません。
家畜人ヤプーの海外の反応
家畜人ヤプーは日本国内だけでなく、海外でも注目されています。
異文化の中でこの作品がどのように受け止められているのか、その反応は非常に興味深いものがあります。
海外ファンからの評価
家畜人ヤプーは、海外の読者にも強烈な印象を残しています。
この物語が強調している社会批評の鋭さを高く評価しており、物語のリアリティが自国の社会問題と重なる部分に深く共感する人も多いようです。
- 白が支配階級、黄色人種（特に日本人）が家畜として扱われる設定は、植民地主義や人別の風刺として受け取られることが多い
- 社会の描写や人間の物化（家具や道具としての改造）が、他のSF作品とは線を画す独創性を持っている
- 一方で、日本人読者同様に作品の過激な内容や性的・暴力的な描写に対して拒否反応を示す読者も少なくない
作品の普遍的なテーマと作者の表現力は、多くの海外ファンにとって新鮮で、言語や文化の違いを超えて理解され、賞賛されています。
家畜人ヤプーの海外での評価は、その文学的な価値と普遍性を証明していると言えるでしょう。
家畜人ヤプーとは？あらすじをわかりやすく紹介
「家畜人ヤプー」は、1956年から1958年にかけて発表された荒俣宏による日本の小説です。
この作品は、荒俣宏が「天野喜孝」のペンネームで描いた挿絵も有名で、物語の特異性を強調しています。
未来の地球を舞台にしており、先進的な異星人によって地球が征服され、人類は家畜として扱われるという設定から始まります。
物語は、日本人男性の瀬部麟一郎（せべ りんいちろう）と、彼の婚約者であるドイツ人女性クララが主人公です。
二人は西ドイツで平穏な生活を送っていましたが、ある日、謎の飛行物体が墜落する場面に遭遇します。
この出来事をきっかけに、二人は2000年後の未来世界「イース」に連れて行かれます。
その未来世界では、白人女性が絶対的な支配者として君臨し、黒人は半人間的な奴隷、黄色人種（特に日本人）は「ヤプー」と呼ばれる家畜として扱われています。
ヤプーは人間でありながら、家具や道具、便器などに改造され、白人のために使役される存在です。
この社会では、白人女性が神聖視され、ヤプーたちは完全な服従を強いられています。
物語は、麟一郎がこの異常な世界で「ヤプー」としての運命を受け入れる過程や、クララが支配階級の一員としてその世界に適応していく様子を描きます。
二人の関係性や心理的葛藤を通じて、人種、階級、性別に基づく支配構造や人間性の喪失がテーマとして浮き彫りにされます。
「家畜人ヤプー」は一部の読者には受け入れがたい内容であるかもしれませんが、それでも日本のSF小説の中で特異な位置を占めており、文学としての価値は非常に高いとされています。
家畜人ヤプーの面白さとは？感想を紹介
「家畜人ヤプー」は、その独特な世界観やテーマ、キャラクターの心理描写に魅力を感じる人々にとって、非常に面白い作品と言えます。
まず、この物語は未来の地球を舞台に、異星人による人間の支配という壮大なテーマを持っています。
普段私たちが考える「未来」のイメージとは異なる、百太陽帝国（EHS）という新しい文明を描くことで、読者は全く新しい体験を得ることができます。
三由紀夫さんや澁澤龍彦さんが絶賛した理由がわかる気がします。
単なるSFやSM小説ではなく、戦後日本の劣等感や西洋への憧れを鋭く風刺していて、文学的な深みを感じました。
DNAや染色体の話が出てきたり、家畜としての日本人の産システムが科学的に説明されていたりと、作者の知識量に驚かされる人も多いそう。
単なる妄想ではなく、しっかりとしたSFとして成立しているのがすごいと思います。
