「次はもっとうまくやる」というフレーズ、元ネタを聞かれても答えられない方は多いはずです。
悪役令嬢作品が発祥だと思われがちですが、時系列を追うと実は順序が逆でした。
フレーズの初出からSNS拡散、書籍タイトルとの関係まで整理します。
次はもっとうまくやるの元ネタは悪役令嬢ではなく、出所不明のまま広まったネットミームだった

先に結論をお伝えします。
このフレーズは特定の悪役令嬢作品のセリフが起点ではなく、書籍の発売日より1年以上前からSNS上で広まっていました。
出典が分からないまま定着した、いわゆるネットミームのひとつです。
2024年6月にはすでに「元ネタ不明」のまま定着していた
順を追って見ていきます。
X(旧Twitter)上には2024年6月30日の時点で、あるユーザーが「次はもっとうまくやるって何が元ネタだったか覚えてない」と投稿した記録があります。
一方、なろう系タイトルとして実在する『悪役令嬢、今度はもっとうまくやる ところでお義兄様、ちょっと距離が近すぎませんか?』(柊一葉著、桜花舞イラスト)の発売日は2025年7月18日です。
つまり「元ネタが分からない」という状態は、悪役令嬢の書籍が世に出るより1年以上前から存在していたことになります。
その後もXでの使用は途切れず、2025年1月から5月にかけて複数のユーザーがそれぞれ独立した文脈で使っており、特定の作品を引用している様子は見られません。
個人的に、答え合わせのつもりで調べ始めて、まさか順序が逆だったとは思わず驚きました。
- 2024年6月30日、Xで「元ネタ不明」の投稿が確認できる
- 2025年7月18日、悪役令嬢書籍が発売
- 発売より約1年前からフレーズはすでに存在していた
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年6月30日 | Xで「次はもっとうまくやるって何が元ネタだったか覚えてない」と投稿される |
| 2025年1月 | Xで「次はもっとうまくやる」の単独使用が確認できる |
| 2025年3月 | Xで「次はもっとうまくやるんだ」の投稿が確認できる |
| 2025年5月 | Xでゲーム実況文脈での使用が確認できる |
| 2025年7月18日 | 『悪役令嬢、今度はもっとうまくやる』(一迅社文庫アイリス)発売 |
なぜ悪役令嬢が元ネタだと誤解されたのか、その理由
誤解が生まれた理由は、悪役令嬢というジャンルそのものの構造にあると考えられます。
断罪や婚約破棄からやり直す「死に戻り」ものはなろう系の中でも非常に人気が高く、「今度こそ」という前向きな決意の言葉自体がジャンルの定番表現として頻出します。
そこにすでに流通していた「次はもっとうまくやる」という語感の近いフレーズが引き寄せられ、書籍タイトルに採用された可能性があります。
同書のあらすじは、公爵令嬢リヴィアが婚約破棄と冤罪による父の死という破滅を経験したのち、大精霊ヴェルナーの力で3年前に時を遡り、義兄レナートとともにやり直すという内容です。
「今度はもっとうまくやる」という決意表明は物語の核心にぴったり合致するため、タイトルとして選ばれたのは自然な流れですが、時系列上は発祥ではなく借用に近いと見るのが妥当です。
「小説家になろう」発の悪役令嬢ジャンルは2010年代半ばから作品が増え、婚約破棄からの逆転劇というフォーマットが読者の間で共有財産のように扱われてきました。
個人的に、言葉が先に一人歩きしてから物語がその言葉に意味を後付けしていく流れは、ネットミームらしくて面白いと感じました。
- 死に戻り系は「今度こそ」型の決意フレーズが定番
- 悪役令嬢書籍は2025年7月発売
- フレーズ自体は2024年6月時点ですでに定着していた
| 比較項目 | 内容 |
|---|---|
| ジャンルの傾向 | 死に戻り、やり直し系で「今度こそ」型の決意フレーズが多用される |
| 該当書籍の刊行時期 | 2025年7月18日 |
| フレーズ側の定着時期 | 2024年6月時点で既に慣用句化 |
| 想定される関係性 | 既存ミームの借用(発祥ではなく採用) |
SNSの反応と他事例、マインクラフトとベケットの言葉という2つの手がかり
SNS上の反応を見ると、多くの人が出典を意識せず、失敗や敗北のあとに軽い自虐や前向きさを添える万能フレーズとして使っています。

対戦ゲームの実況や日常のつぶやきなど、シチュエーションを選ばず使われているのが特徴です。
これだけ幅広いジャンルで独立して使われているという事実自体が、単一の物語作品を発祥とする説の弱さを裏づけているとも言えそうです。
手がかりのひとつが、ゲーム『Minecraft』のクラッシュレポート画面です。
開発元のMojangは、ゲームが異常終了した際の画面上部に短いジョーク文をランダム表示する仕様を採用しており、その中に英語で「Don’t be sad. I’ll do better next time, I promise!」という一文が含まれています。
意訳すると「悲しまないで、次はもっとうまくやるから、約束するよ」となり、この言い回しが独立して切り出され、ゲーム文脈を離れて広まった可能性は十分に考えられます。
もうひとつ、サミュエル・ベケットの言葉「Try again. Fail again. Fail better.」(今度はもっとうまく失敗するのだ)も、意味合いの近い名言として文化的な土壌になっていた可能性があります。
個人的に、関連するYouTubeの配信アーカイブや切り抜き動画もあわせて確認しましたが、特定の配信者やYouTuberの発言を起点とする決定的な証拠は見つかりませんでした。
どちらの説も確証には至りませんが、少なくとも悪役令嬢作品より前から存在した表現の系譜として押さえておく価値はあると感じます。
- 対戦ゲームの実況や日常会話など幅広い文脈で使われている
- Minecraftのクラッシュ画面に類似の英語表現が存在する
- サミュエル・ベケットの名言にも近い言い回しがある
- YouTube動画も確認したが決定的な発言者は特定できなかった
| 候補 | 概要 | 悪役令嬢説との前後関係 |
|---|---|---|
| Minecraftのクラッシュ画面 | 「Don’t be sad. I’ll do better next time, I promise!」が仕様として存在 | ゲーム自体は2011年に正式リリース、悪役令嬢書籍より大幅に先行 |
| サミュエル・ベケットの言葉 | 「Try again. Fail again. Fail better.」の日本語訳が名言として流通 | 出典は20世紀の戯曲家で、悪役令嬢書籍とは無関係 |
| 悪役令嬢書籍 | 『悪役令嬢、今度はもっとうまくやる』2025年7月18日発売 | フレーズ定着後に採用された可能性が高い |