かいりきベアさんが制作し、多くのリスナーの心を掴んで離さない楽曲『ルマ』。
この曲は、歌い手の莉犬さんバージョンと、ボーカロイドの初音ミクバージョンが存在するため、「一体どちらが本家なの?」と疑問に思う方も少なくないようです。
また、同じくかいりきベアさんの代表曲である『ベノム』との類似性や、心に突き刺さるような歌詞の深い意味についても、たくさんの考察が飛び交っています。
本記事では、これらの疑問を解消すべく、『ルマ』の「本家」問題から『ベノム』との関係性、そして歌詞に込められたメッセージまで調査・考察していきます。
ルマの本家は莉犬とかいりきベアのどっち?ベノムに似ている?

莉犬さんの動画には「オリジナル曲」と書かれている一方で、かいりきベアさんの初音ミクバージョンも存在します。
ここでは、その関係性を整理し、多くのファンを惹きつける『ベノム』との類似点についても詳しく見ていきましょう。
本家は「どちらも」が正解?

結論から言うと、『ルマ』の本家は「莉犬さんバージョン」「初音ミクバージョン」のどちらも本家である、と考えるのが最も自然なのです。
なぜなら、この曲が生まれた経緯が少し特別だからです。
『ルマ』は、もともとボカロPであるかいりきベアさんが、人気歌い手グループ「すとろべりーぷりんす(すとぷり)」のメンバーである莉犬さんのために書き下ろした楽曲で、莉犬さんにとっては自身の「オリジナルソング」ということになります。
実際に、莉犬さんの1stフルアルバム『タイムカプセル』にこの曲は収録されています。
そして、その楽曲提供と同じ日である2019年11月23日に、かいりきベアさん自身も、ボーカロイドである初音ミクが歌唱するバージョン(ボカロver.)を動画共有サイトに投稿しました。
これは、ボカロPが自身の制作した楽曲をボーカロイドに歌わせる、ごく自然な流れです。
このような経緯から、ファンの間では「莉犬くんver.が歌い手としての本家」「初音ミクver.がボカロ曲としての本家」と認識されており、「どちらも本家」という見方が広く受け入れられています。
歌ってみた動画の概要欄などでも、両方の動画を本家としてリスペクトを示す投稿者が多いことからも、その認識が伺えます。
| 項目 | 莉犬 ver. | 初音ミク ver. |
|---|---|---|
| 位置づけ | 莉犬さんへの書き下ろしオリジナル曲です。 | かいりきベアさんによるボカロバージョンです。 |
| 公開日 | 2019年11月23日です。 | 2019年11月23日です。 |
| 特徴 | 莉犬さんの中性的な歌声が、楽曲の持つ苦悩や叫びを感情豊かに表現しています。 | 初音ミクの無機質さが、逆に歌詞の持つ孤独感や絶望感を際立たせている印象です。 |
ベノムに似ている?

『ルマ』を聴いた多くの人が、かいりきベアさんの別の代表曲『ベノム』を思い浮かべるようです。
実際、この2曲には意図的と思われる多くの共通点が見られ、かいりきベアさんの楽曲世界を深く楽しむための鍵となっていると考えられます。
まず最も分かりやすいのが、サウンド面で、一度聴いたら耳に残る中毒性の高いギターロックサウンドは、かいりきベアさんの大きな特徴であり、この2曲でもその魅力が存分に発揮されています。
さらに、歌詞やミュージックビデオ(MV)にも、繋がりを思わせる仕掛けが散りばめられています。
「愛を頂戴」というフレーズ
『ルマ』のMV冒頭や歌詞の中に登場する「愛を頂戴」というフレーズは、『ベノム』のサビで印象的に使われる言葉と全く同じで明確なセルフオマージュであり、2つの曲が同じ世界観を共有していると思われます。
「×(バツ)」のモチーフ
『ベノム』では、MVの少女が指で×マークを作ったり、背景のギターが×に見えるように描かれたりと、「×」が重要なモチーフでした。
『ルマ』でも、歌詞に「×点(ばってん)」という言葉が登場したり、MVで×印のついた紙が舞っていたりと、同様に「×」が強調されています。
タイトルの言葉遊び
極めつけは、曲名『ルマ』を逆から読むと『マル(○)』になるという点で、『ベノム』が「×」を象徴していたのに対し、『ルマ』は「○の反対=×」という、よりひねくれた形で「×」を表現していると解釈できます。
単なる偶然ではなく、かいりきベアさんが自身の作品群に一貫したテーマや物語性を持たせている証拠と言えるでしょう。
イラストレーターに同じ「のう」氏を起用することが多いのも、その世界観構築の一環なのかもしれません。
| 似ている部分 | 共通点・関連性 | 考察・補足 |
|---|---|---|
| サウンド | 中毒性の高いギターリフや疾走感のある曲調が似ています。 | かいりきベアさんのシグネチャーサウンドであり、ファンが繋がりを感じる大きな要因だと思われます。 |
| 歌詞 | 「愛を頂戴」というフレーズや、「×点」といった言葉が共通して使われています。 | 承認欲求や自己否定といった、楽曲の根底にあるテーマの共通性を示していると考えられます。 |
| MV・タイトル | 「×」のモチーフや、タイトル(ルマ⇔マル)の言葉遊びに繋がりが見られます。 | 楽曲を聴くだけでなく、視覚情報や言葉の裏の意味を読み解く楽しみを提供しているのです。 |
歌詞の意味を考察

『ルマ』の最大の魅力は、その攻撃的なサウンドに乗せられた、深く鋭い歌詞の世界観にあります。
一見すると難解な言葉が並んでいますが、一つ一つ紐解いていくと、現代を生きる若者の苦悩や葛藤が痛いほど伝わってくるのです。
まず、タイトルの『ルマ』が「マル(○)」を逆さにした言葉遊びであり、「バツ(×)」を意味している、という解釈が考察の出発点になります。
歌詞全体を通して、人生が「正解」か「不正解」かで採点されるテストに例えられており、その窮屈さへの反発が歌われています。
満点な人生も 秀才な解答もございません
有害な評論も 見え透いた同情も 聞きたくはないな
冒頭から、社会が求める「満点の人生」や「秀才な解答」といった画一的な価値観をきっぱりと否定しています。
周りから押し付けられる「有害な評論」や、うわべだけの「見え透いた同情」に対しても、強い拒絶を示していて主人公は、おそらく将来に悩む学生で、決められたレールの上を歩くことに強い息苦しさを感じているのでしょう。
はいはい 俯いちゃってヤンヤンヤン クラクラリ
彷徨って 正答 失っちゃって わーんわーんわーん
だって!心は満たされない!
ここでは、どうしようもない現状に諦めを感じつつも、心が満たされない焦燥感が描かれています。
「わーんわーんわーん」という擬音は、楽曲提供を受けた莉犬さんの犬のキャラクターと、どうしようもなく泣いている主人公の姿を重ね合わせた、秀逸な表現です。

そして、心の叫びは「愛を頂戴」という承認欲求の爆発へと繋がります。
感情熱唱メッタッタッタ 声枯らせ
全然わかんない ×点 喰らい尽くse
正解なんてバイバイ提唱だダダダダ
サビでは、鬱屈した感情が一気に爆発していて「正解が全然わからない」なら、いっそ「×点(失敗)」を全て受け入れて喰らい尽くしてしまえ、という開き直りにも似た決意が感じられます。
社会が用意した「正解」なんてものには、こちらから別れを告げてやろう、という強い反骨精神の表れなのです。
2番に入ると、主人公の視点に変化が見られます。
1番では「聞きたくない」「見たくない」と外部からの刺激を拒絶していましたが、2番では「後悔な人生」「停滞の殺到」といった、自分自身の内面の問題へと向き合い始めます。
全然染まんない「我」貫き通せ
心境全焼落下ッカッカ 這い上がれ
正解なんて曖昧立証だダダダダ
そして、最終的にたどり着くのが「自分を貫き通す」という強い自己肯定です。
周りの価値観に「染まらない自分(我)」を最後まで持ち続けろと叫びます。
たとえ心が燃え尽きて墜落したとしても、そこから這い上がれと。そして、「正解なんてものは曖昧なものでしか証明できない」と断言し、唯一絶対の正解など存在しないという悟りを開くのです。
この曲は、テストの点数や学歴といった分かりやすい「マル」を求める社会の中で、自分だけの「正解」を見つけようともがく、全ての人のための応援歌だと言えるでしょう。
| 歌詞の言葉 | 一般的な意味 | 曲中での解釈 |
|---|---|---|
| 傲慢な快晴 | おごり高ぶったような、よく晴れた空のことです。 | 悩みもなく順風満帆に見える他人の人生を、妬みや皮肉を込めて表現していると考えられます。 |
| 心臓血漿 | 血液の液体成分のことです。 | ただの「血」ではなく、生命維持に不可欠な「血漿」という言葉を使うことで、衝動の根源的な強さを表現していると思われます。 |
| 感情裂傷 | 感情が引き裂かれるような傷のことです。 | 傷つくことを恐れず、ありのままの感情を歌にしろ、という強いメッセージが込められているのです。 |
ルマの印象を調査

動画のコメントやSNSでの口コミを調査したところ、その多くが非常に好意的なものであることが分かりました。
割合で示すと、「楽曲(曲調や歌声)への好意的な意見」が約80%、「歌詞の深さへの共感や考察」が約15%、「その他(MVのイラストなど)」が約5%といった印象です。
以下に代表的な口コミをいくつかご紹介します。
向いている人

『ルマ』の持つメッセージ性やサウンドは、特定のリスナーの心に深く響く力を持っています。
この曲は、ただ消費される音楽ではなく、聴く人の人生に寄り添い、時には背中を押してくれるような存在なのです。
以下のような人には、特に『ルマ』が向いていると言えるでしょう。
- 将来や進路のことで悩んでいる学生
- 社会の「普通」や「正解」に息苦しさを感じている人
- 自分らしさとは何かを探している人
- 周りに流されず、自分の意志を貫きたいと思っている人
- かいりきベアさんのダークで攻撃的なギターロックが好きな人
- 莉犬さん(すとぷり)のファンで、カッコいい一面を見たい人
Q&A
ここでは、『ルマ』について、よくある質問から少しマニアックな疑問まで、Q&A形式でお答えします。
- 結局のところ、『ルマ』の本家は莉犬さん、初音ミクのどっちなんですか?
どちらも「本家」と呼ぶのが正しい、というのがファンの中での共通認識です。経緯としては、まずかいりきベアさんが莉犬さんのオリジナル曲として『ルマ』を書き下ろしました。そして同日に、かいりきベアさんが自身の作品として初音ミクが歌うバージョンを公開したのです。そのため、莉犬さんバージョンは「歌い手としてのオリジナル曲(本家)」、初音ミクバージョンは「ボカロ曲としてのオリジナル曲(本家)」とされています。
- MVのイラストレーター「のう」さんは、『ベノム』以外にもかいりきベアさんの曲を担当していますか?
数多く担当されています。『ルマ』や『ベノム』の他にも、『ダーリンダンス』や『アイ情劣等生』、『アンヘル』といった、かいりきベアさんの代表曲の多くで、のうさんがイラストを手掛けています。かいりきベアさんの作る少し病んだ世界観と、のうさんの描く表情豊かな少女のイラストは最高の組み合わせとしてファンに愛されています。最近では、のうさんがプロデュースするコラボアルバム『レゾンデートル』にかいりきベアさんが楽曲を提供するなど、その関係性はさらに深まっています。
- 歌詞に出てくる「わーん」や「きゃんきゃん」といった犬の鳴き声のような表現は、莉犬さんを意識したものですか?初音ミクバージョンにも入っているのですか?
これらの表現は、莉犬さんの持つ犬耳と尻尾というキャラクターをイメージして作られた歌詞の一部です。そして、この歌詞は初音ミクバージョンでもそのまま使われています。莉犬さんバージョンではキャラクター性が際立ちますが、初音ミクバージョンでは、より純粋に「助けを求めて泣き叫ぶ声」や「つまずいて弱気になる様子」として聴こえるかもしれません。同じ歌詞でも歌い手によって全く違ったニュアンスが生まれるのが、この曲の面白いところだと思います。ぜひ聴き比べてみてください。