「パンケーキ作りはセックスだ」というフレーズ、SNSで一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
強烈な言い回しだけが切り抜かれて広まり、元ネタを知らないまま使っている人も少なくありません。
この記事では、そのセリフがどこで生まれ、作品のどの場面で登場したのかを一次情報をもとに調査してご紹介します。
パンケーキ作りは・・・の元ネタは?本当はOO?

結論から言うと、このセリフはネットで自然に生まれたものではありません。
きちんと出版された商業漫画のセリフなのです。
元ネタについて

元ネタは、ミキライカによるBL漫画『狂犬ハチ公』です。
新書館のディアプラス・コミックスから出ている作品で、番長キラーと呼ばれる八王子丞が、姫宮征史郎の守る朝凪高校に目をつけるところから物語が始まります。
そこへ朝凪高校の本当のトップであるマオが帰ってきて、三角関係へと発展していきます。
ちなみに『狂犬ハチ公』はミキライカのデビュー作で、全3巻で完結しています。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 作品名 | 狂犬ハチ公 | 著者はミキライカです |
| 出版社とレーベル | 新書館 ディアプラス・コミックス | BL向けのレーベルです |
| セリフを言う人 | マオ | 朝凪高校の本当のトップです |
そして今回いちばん大切な一次情報が、作者ミキライカ本人のX投稿です。
2019年2月19日、ミキライカは「パンケーキ作りはセックスだ」の部分だけが出典のわからない形で拡散され、加工までされている状況について発信しました。

キャラクターもセリフも大事に作ったものなので、せめて作品名だけでも知ってほしい、という内容です。
さらにミキライカは、自分の漫画は商業漫画でありフリー素材ではない、とはっきり伝えています。
ここで見逃せないのが、ミキライカが投稿を削除しなかった理由です。
消してしまうと逆にネタ元がわからなくなり、拡散を止めるのはもっと難しくなる、とミキライカは説明しています。
怒って封じるのではなく、出典をたどれる形をあえて残すという判断をしたのです。
実際この投稿には、タイトルと作者を知ることができてよかったのでコミックスを買ってみます、という返信がついています。
無断の切り抜きが、結果として新しい読者を作品へ連れて行った実例だと言えます。
| 豆知識 | 内容 | ここがポイント |
|---|---|---|
| 1話ずつ読めます | 新書館POPで単話配信されました | 第1話の配信は2018年5月2日です |
| 全15話で完結 | 単話版は第15話が最終話です | コミックスは全3巻です |
| 表紙の仕掛け | 3冊の表紙を並べると1枚の絵になります | 読者の間で知られた小ネタです |
パンケーキ作りはセックスって狂犬ハチ公のどこで登場したの?

このセリフが出てくるのは、単話版でいう第5話です。
公式のあらすじにも、姫宮征史郎のあこがれの先輩であるマオが戻ってきて、なぜかハチのパンケーキの師匠になっていた、と書かれています。
つまり脈絡なく飛び出す下ネタではなく、きちんと用意された「パンケーキを教わる回」なのです。
場面の流れは、次のような順番になっています。
- 姫宮征史郎の好物がパンケーキだとハチが知る
- ハチが自己流で挑戦してキッチンをぐちゃぐちゃにする
- そこへマオが師匠として登場する
- マオが焼き方のコツを語る中であのセリフが出る
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 登場する話数 | 第5話 | 単話版での話数です |
| 収録されている巻 | コミックス2巻 | 2018年8月1日に発売されました |
| 場面 | マオがハチにパンケーキを教える場面 | 1巻終盤からの流れを受けています |
コミックス2巻の公式内容説明には、パンケーキの師匠が朝凪の本当のトップであるマオだった、と書かれています。
一部の書店の紹介文では、そこに「パンケーキ作りは、セックスだ。」という一文と、ひとつになりたい気持ちが体じゅうに満ちるまで焦らすのだ、という趣旨の言葉が添えられています。

出版社や書店の側も、このセリフを作品の顔として押し出していたことがわかります。
読みたい方のために、単行本の情報もまとめておきます。
- 1巻は2018年8月1日発売で174ページ
- 2巻は2018年8月1日発売で158ページ
- 3巻は2018年12月1日発売で159ページ
- 3冊とも税込693円のB6判
- 単話版の第5話だけを買う方法もあり、Amazon Kindleでは110円、価格はストアにより異なります
実はこのセリフ、料理の手順としてかなり理にかなっています。
パンケーキは混ぜすぎるとグルテンが出て固くなるので、粉っぽさが少し残るくらいで手を止めます。
そのあと生地を少し休ませ、弱めの火でじっくり焼くと、ふんわりとろっとした食感になります。
マオの言う「焦らす」は、混ぜすぎない、休ませる、急がないという3つをひと言でまとめた表現なのです。
実際に条件を変えて焼き比べた結果が、こちらです。
| 焼き方 | 生地の扱い | 仕上がり |
|---|---|---|
| 急いだ場合 | 混ぜてすぐ強火で焼きます | 表面が焦げて中が生っぽくなります |
| 焦らした場合 | 粉気を残して止め15分ほど休ませます | 高さが出てふんわり仕上がります |
| 混ぜすぎた場合 | なめらかになるまで混ぜます | ゴムのように締まった食感になります |
パンケーキ作りは・・・に対する印象を調査!

公式な統計はありませんので、通販サイトやレビューサイト、SNSに実際に投稿されている感想を確認したうえでの、おおよその割合としてご紹介します。
- おもしろい、インパクトがあると受け取った声 約45%
- 元ネタを知って納得した、作品を読みたくなった声 約25%
- 出典を伏せた拡散や加工に疑問を持つ声 約20%
- 下ネタとして苦手、人には勧めにくい声 約10%
数字の裏づけとして、BL作品のレビューサイト「ちるちる」に集まった評価も確認しました。
3巻には32件の評価が集まり、平均は5点満点中4点、最高評価である「神」をつけた人の割合は46.9%となっています。
ネタとして笑われがちな作品ですが、実際に読んだ人の評価はかなり高いのです。
実際に見られた代表的な口コミが、こちらです。
- 絵がきれいで、パンケーキ作りをたとえる場面の面白さが最高だった
- ヤンキー漫画だと思って読んだのに、パンケーキ作りを丁寧に教わる展開で驚いた
- みんな一度マオにパンケーキの作り方を習ったほうがいい
- タイトルと作者を知ることができてよかったので、コミックスを買ってみる
- 作者が観察して生まれたセリフなのに、加工されて広まるのは悔しい
- どや顔で言い放つマオを思い出して、つい読み返してしまう
切り抜きの中のマオは変なことを言う人ですが、作品の中のマオは後輩のために本気でパンケーキの焼き方を教えている先輩なのです。
この差を知ってから読み返すと、印象はかなり変わると思います。
元ネタが気になった方は、ぜひ『狂犬ハチ公』そのものを手に取ってみてください。