SNS、特にX(旧Twitter)で写真や動画と共に投稿される「無加工やーん」というフレーズ。
一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
一体この言葉はどこから来て、どのような背景を持っているのでしょうか。
本記事では、この「無加工やーん」という言葉の元ネタから意味、そして本家とされる人物の現在まで、その全貌を徹底的に調査・紹介していきます。
無加工やーんの元ネタや意味は?本家はTwitter?

この言葉の起源には、大きく分けて2つの説が考えられます。
一つは特定のインフルエンサーの投稿がきっかけになったという説、もう一つはSNS全体のトレンドから自然発生的に生まれたという説です。
インフルエンサー「なな」さんの投稿が起源とする説

「無加工やーん」という言葉の最も有力な元ネタとして知られているのは、TikTokやX(旧Twitter)で絶大な人気を誇るインフルエンサー「なな」さん(@nana101381)に関する一連の出来事で、彼女は10代の若者を中心に多くのファンを持つクリエイターです。
ある時期、「#なな流失」や「#ななにー流失」といった不穏なハッシュタグと共に、ななさんの「加工されていない」とされるプライベートな画像がSNS上に出回るという騒動がありました。
普段の投稿は可愛らしく作り込まれているため、そのギャップを面白がった一部のネットユーザーが、揶揄やからかいの意図を込めて「無加工やーん」という言葉を使い始めたのが直接のきっかけだと考えられています。
もちろん、この「流出」とされた画像について、ななさん本人は自身のXアカウントで「全部コラやしななの流出なんかないから」と明確に否定しています。
つまり、出回った画像は第三者が悪意を持って加工して作り出した偽物(コラージュ画像)である可能性が非常に高いのですが、一度ネットミームとして火が付くと、その真偽は関係なく言葉だけが独り歩きしてしまうのがSNSの世界です。
この一連の騒動が、「無加工」という言葉に皮肉やツッコミのニュアンスを持たせ、「無加工やーん」というフレーズをネットスラングとして定着させる大きな要因になったと思われます。
「やーん」という少し気の抜けたような語尾が、驚きや呆れ、親しみを込めたツッコミといった複雑な感情を表現しやすく、多くの人に使われるようになったのでしょう。
| 項目 | 詳細 | 備考 |
|---|---|---|
| 本家とされる人物 | インフルエンサー「なな」さん(@nana101381) | TikTokで77万人以上のフォロワーを持つ人気のクリエイターです。※2025年時点 |
| 関連した騒動 | 「#なな流失」というタグでの画像拡散 | 本人の意図しない形で、加工された偽の画像が出回りました。 |
| 本人の公式な反応 | 「全部コラ」とX(旧Twitter)で否定 | 流出したとされる画像は、事実ではないと強く主張しています。 |
| フレーズの拡散経路 | 主にX(旧Twitter)が中心 | リアルタイム検索で、今でも多くの関連投稿を見ることができます。 |
SNSの「無加工」トレンドと自己肯定感の文脈から生まれたとする説

もう一つの説は、特定の個人が発端ではなく、近年のSNSを取り巻く大きな文化の流れから自然発生的に生まれたという考え方です。
現在のSNS、特にInstagramやTikTokでは、フィルターやエフェクトを駆使した「加工された美しい自分」を見せることが一般的ですが、その一方で、そうした過度な加工文化へのカウンターとして、「#無加工」や「#加工無し」、「#ノーマルカメラ」といったハッシュタグを付けて、ありのままの姿を投稿するトレンドも存在します。

完璧ではない自分も受け入れてほしい、という承認欲求の表れであり、加工に疲れた人々の共感を呼んでいるのです。
しかし、この状況は若者にとって非常に複雑な心理状態を生み出しています。物心ついた時からスマホとSNSが当たり前に存在するZ世代は、「フォロワー数」や「いいね数」といった数字によって、自分の「外見」や「ユーモア」が他者から評価され、常に比較される環境で生きてきました。
ある研究では、これを「自分以上の人間と24時間比較され続けている」状態と表現しており、若者の自己肯定感が低くなる一因だと指摘しています。

「無加工」とタグを付けながらも、実際には巧妙に加工されているように見える投稿や、逆に本当に無加工で驚くほど美しい、あるいは面白い投稿に対して、ユーザーは敏感に反応します。
そこで生まれたのが、「(本当に?)無加工やーん(笑)」という、驚き、疑い、皮肉、称賛が入り混じったツッコミの言葉だったと考えられるのです。
これは、加工が当たり前の世界で「無加工」という言葉が持つ意味の揺らぎや、SNS上の理想(加工された姿)と現実(無加工の姿)のギャップを面白がる、現代のネットユーザー特有の感性が生み出したフレーズだと言えるでしょう。
| 補足情報 | 備考 |
|---|---|
| SNSでは、友だちや世界中の人々と自分を常に比較してしまいがちです。 | 「アヒル症候群」という、水面下での必死の努力を隠して優雅に見せる心理状態も指摘されています。 |
| 加工された理想のイメージに触れ続けることで、自分の容姿や人生に対する満足度が下がりやすいのです。 | 自分の本当の姿とSNS上のペルソナとのギャップに苦しむ若者も少なくありません。 |
| 過度な加工への疲れから、「ありのまま」を評価する価値観も生まれています。 | フィルターなしの瞬間を共有するアプリ「BeReal」の人気も、この流れを象徴しています。 |
| キラキラした投稿だけでなく、失敗談や自虐ネタを共有することで共感を得ようとする心理もあります。 | 「無加工やーん」と自虐的に投稿する行為も、この一種と考えられます。 |
無加工やーんの意味や使い方例

「無加工やーん」という言葉は、文字通りの意味だけでなく、使う場面や相手によってニュアンスが大きく変わる、非常に便利なスラングです。
その意味合いは、主に「①純粋な称賛・驚き」「②皮肉・揶揄」「③自虐・ネタ」の3つに分類することができます。
まず「①純粋な称賛・驚き」としての使い方で、加工を一切していないのに、息をのむほど美しい風景写真や、非常にかわいいペットの動画、クオリティの高いコスプレ写真などを見た時に使われます。
この場合の「無加工やーん!」は、「加工なしでこのレベルは信じられない!すごい!」という素直な感動やリスペクトの気持ちを表しています。

次に「②皮肉・揶揄」としての使い方で、今回の元ネタの文脈に最も近い用法で、少しネガティブなニュアンスを含みます。「#無加工」と書かれているのに、どう見てもフィルターがかかっていたり、輪郭が不自然だったりする投稿に対して、「(よく言うよ)無加工やーんw」といった形で使われます。
また、普段は加工を多用している人が珍しく無加工の写真を投稿した際に、からかい半分でコメントすることもあります。

最後に「③自虐・ネタ」としての使い方で、自分自身の飾らない姿を投稿する際に、笑いを誘う目的で使われます。
例えば、寝起きのボサボサの髪で撮った写真に「はい、これが現実。無加工やーん(泣)」と添えたり、友人同士で変な顔の写真を送り合って「無加工やーん」と笑い合ったりするような場面です。
自分の欠点やありのままの姿をあえて晒すことで、親近感を生んだり、場を和ませたりする効果があるのです。
| 使われ方のタイプ | 例文 | 込められた感情 |
|---|---|---|
| ① 称賛・驚き | 旅行先で撮った夕焼けの写真に「このグラデーション、神。無加工やーん!」 | 純粋な感動と、撮影者のセンスを褒める気持ちです。 |
| ② 皮肉・揶揄 | 明らかに肌が綺麗すぎる自撮りに「これで無加工は無理があるw 無加工やーん(棒読み)」 | 投稿者の主張に対する疑いや、からかいの意図が含まれます。 |
| ③ 自虐・ネタ | 飲み会で酔っ払って赤くなった自分の顔を投稿し「見て、りんご飴。無加工やーん!」 | 自分の失敗や残念な姿を笑いに変えようとする、ユーモアのある使い方です。 |
| ④ 中立的な確認 | イラストレーターの作品に対して「この色味好きです!もしかして無加工やーん?」 | 悪意はなく、単純に加工の有無や制作過程に興味がある場合です。 |
無加工やーんに対する印象を調査!

大まかな割合としては、「ネガティブ・皮肉な印象」が約50%、「ポジティブな印象」が約30%、「中立・ネタ的な印象」が約20%といったところです。
やはり、元ネタの騒動が揶揄的な文脈であったことから、ネガティブなイメージを持っている人が最も多いようですが、言葉が広まるにつれて、本来の意味から離れて多様な使われ方がされるようになり、ポジティブな称賛や単なるネタとして捉える人も増えてきていることが伺えます。
以下に、ネット上で見られる代表的な口コミをいくつかご紹介します。
向いている人

この「無加工やーん」という言葉は、誰でも気軽に使える一方で、その背景を知っていると少し使いどころが難しいと感じるかもしれません。
SNSでのコミュニケーションをより豊かにするための一つのスパイスとして、上手に活用してみてください。
- SNSのトレンドやネットスラングの移り変わりに敏感な人
- 写真や動画における「加工」という文化について、ユーモアを交えて語り合いたい人
- 友人や仲間との間で、気軽なツッコミや愛のあるイジリを楽しめる関係性を築いている人
- 自分のありのままの姿を、自虐ネタとして笑いに変えることができるポジティブな人
Q&A
最後に、「無加工やーん」に関して、多くの人が抱くであろう疑問や、さらに一歩踏み込んだ質問についてQ&A形式でお答えします。
- 「無加工やーん」の元ネタとされる本家アカウントは、今どうなっていますか?
元ネタの発端とされているインフルエンサーの「なな」さん(Xアカウント: @nana101381)は、2025年現在もXやTikTokを中心に精力的に活動を続けています。ダンス動画や日常の出来事などを投稿しており、多くのファンから変わらぬ支持を得ています。過去の「流出」騒動について自ら言及することはほとんどありませんが、以前に「全部コラやしななの流出なんかないから」と自身の言葉で明確に否定したことがあります。騒動を乗り越え、クリエイターとしての活動を続けているようです。
- 「無加工やーん」という言葉を使うと、炎上する可能性はありますか?
使い方次第では、炎上やトラブルに繋がる可能性は十分にあります。特に、特定の個人を名指しして、悪意のある皮肉や誹謗中傷の目的で使うのは非常に危険です。元ネタの経緯を知っている人からは、ネットいじめの加担と見なされても仕方がありません。一方で、仲の良い友人同士での冗談や、自分自身に向けた自虐ネタとして使う分には、問題になることはほとんどないでしょう。大切なのは、相手がどう感じるかを想像し、TPOをわきまえることです。
- 「無加工」と似たような文脈で使われるネットスラングは他にありますか?
「無加工」の対義語として「重加工(じゅうかこう)」という言葉がよく使われます。これは、元の写真がどんなだったか分からないほど、フィルターや修正を強くかけている状態を指します。例えば、「この写真、重加工すぎて別人みたい」といった使い方をします。また、「松果体にくる」という表現も、加工とは少し違いますが、美しさや恐怖が理屈ではなく直感的に訴えかけてくるような、強烈なインパクトを持つ作品に対して使われることがあります。これらは、「無加工やーん」が持つ「驚き」のニュアンスと通じる部分があるかもしれません。
- このような特定の個人を発端とするネットミームは、法的に問題になることはないのでしょうか?
ミーム(ネットで流行するネタ)が広まる過程で、元になった人物の画像を無断で使用したり、事実ではない情報(例えば「流出画像」など)を拡散して社会的評価を下げたりする行為は、肖像権の侵害や名誉毀損にあたる可能性があります。たとえ「パロディ」や「風刺」の意図があったとしても、それが許される範囲には限度があります。「無加工やーん」というフレーズを単体で使うだけなら問題になりにくいですが、元ネタとされるななさんの画像(特に本人が否定しているコラ画像)とセットで拡散するような行為は、法的なリスクを伴うと考えるべきです。ユーモアと権利侵害の境界線を意識することが、ネット社会では非常に重要になります。







