2025年11月、中国外交部や国防部がSNSに投稿した日本への警告画像が、思わぬ形でインターネット上のお祭り騒ぎに発展。
威圧的なはずのメッセージが、なぜか日本のネットユーザーたちの手によって「大喜利」のネタと化し、「中国外交部ジェネレーター」なるパロディ画像作成ツールまで登場、この現象は国境を越え、台湾でも大きな話題となりました。
本記事では、この一連の騒動の元ネタから、なぜ大喜利状態になったのか、そして日本や台湾のネットユーザーがどのように反応したのかを、詳しく調査・紹介していきます。
中国外交部ジェネレーターの元ネタは?なぜ大喜利に?

中国政府の公式な警告が、なぜネットユーザーのおもちゃのような存在になってしまったのでしょうか。
単に画像が投稿されたという事実だけでなく、いくつかの興味深い元ネタと、ネット文化特有のユーモア精神が複雑に絡み合っているようです。
元ネタ1:中国外交部の「戦狼外交」と定型句

今回のジェネレーター騒動の直接のきっかけは、中国外交部などが投稿した警告画像ですが、その土壌となったのは、以前から指摘されていた中国の外交スタイルとその発言の「定型化」にあると考えられます。
そもそも、この騒動の発端は、2025年11月7日に日本の高市早苗首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と発言したことで、中国側は猛反発。
中国の薛剣・駐大阪総領事が「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」といった過激な内容をX(旧Twitter)に投稿し(後に削除)、外交問題にまで発展しました。
この緊張の中、中国外交部や国防部の公式アカウントは、追い打ちをかけるように特徴的なデザインの警告画像を日本語で次々と投稿。

赤と黒のグラデーション背景に「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」といった強い言葉が並ぶ画像は、相手を威圧する「戦狼外交」と呼ばれる強硬なスタイルを象徴するものでした。
しかし、このような強硬な発言は、実はネットユーザーにとって「またいつものパターンか」と受け取られる側面もあり、中国外交部の記者会見などでの発言は、しばしば「強烈な抗議」「内政干渉を許さない」「断固として反対する」といったフレーズが繰り返されることで知られています。

この「発言の定型化」は、実は今回が初めて注目されたわけではなく、2019年頃に中国のネットユーザーによって作られ、話題となった「耿爽模擬器(Geng Shuang Emulator)」の存在があります。
当時の外交部報道官であった耿爽氏の、ワンパターンとも言える受け答えを皮肉った一種のジョークプログラムで、非難したい国や事柄を入力すると、耿爽氏が言いそうな定型的な抗議声明文を自動で生成してくれるというもので、その完成度の高さから「報道官は失業するのでは」とまで言われたほどです。
この「耿爽模擬器」は、中国の公式発表をテンプレート化して楽しむという文化が、今回の騒動以前からネット上に存在していたことを示す重要な証拠と言えるでしょう。
| 補足情報 | 耿爽模擬器(2019年) | 中国外交部ジェネレーター(2025年) |
|---|---|---|
| 目的 | 中国外交部の定型的な発言を皮肉り、面白がることです。 | 中国外交部の威圧的な警告画像をパロディ化し、大喜利を楽しむことです。 |
| 生成物 | テキスト(報道官の声明文)を生成します。 | 画像(警告文風の画像)を生成します。 |
| 背景 | 発言がワンパターンで予測可能だというネット上の認識がありました。 | 威圧的なデザインと不自然な日本語がネタにされやすい素地がありました。 |
| 共通点 | どちらも中国の公式発表を「テンプレート」と捉え、ユーモアの対象にしている点です。 | どちらも中国の公式発表を「テンプレート」と捉え、ユーモアの対象にしている点です。 |
元ネタ2:視覚的インパクトと「誤用」が招いたミーム化

中国外交部の強硬な姿勢や発言の定型化がパロディ化の土壌であったとすれば、それに火をつけたのは、警告画像そのものの「デザイン」と、そこで使われた「言葉」でした。
日本語として不自然な点や明らかな誤用が、威圧的なメッセージを無力化し、格好のツッコミどころを提供してしまったのです。
まず注目されたのが、画像の視覚的なインパクトで、中国外交部が使用した「赤と黒のグラデーション背景に、白とオレンジの文字」というフォーマットと、中国国防部が使用した「青い背景に白文字」というフォーマットは、非常に特徴的で、一度見たら忘れられないデザインでした。
この強烈なデザインは、本来なら警告の深刻さを伝えるためのものだったはずですが、あまりにテンプレートとして完成されすぎていたため、逆に中身のテキストを入れ替えるだけで簡単にパロディが作れる「コラ画像」の素体として、ネットユーザーに認識されてしまいました。

そして、この流れを決定的にしたのが、中国国防省の投稿に含まれていた「粉骨砕身」という四字熟語の誤用で、投稿には「必ず中国人民解放軍の鉄壁の前で 粉骨砕身になり、多大な代償を払わなければならない。」と書かれていました。
これはおそらく、「骨や身が粉々になる」という文字通りの意味で、日本への脅し文句として使ったものと思われます。
しかし、日本語における「粉骨砕身」は、「力の限り懸命に働くこと」「骨身を惜しまず努力すること」を意味する、むしろポジティブな言葉のため、日本のネットユーザーからは「(日本が介入したら)人民解放軍のために粉骨砕身努力してくれるってこと?」「ありがとう!」といったツッコミが殺到し、一気にネタとしての側面が強まりました。

この致命的な言葉の誤用は、中国側の意図した「脅し」を完全に骨抜きにし、シリアスな外交問題をユーモラスな「大喜利」へと転換させる最大の起爆剤となったのです。
| 補足情報 | 中国国防省の意図(推測) | 日本語での意味 |
|---|---|---|
| 意味 | 「骨や身が粉々になる」という物理的な破壊を指す脅し文句として使ったと思われます。 | 「力の限り懸命に働くこと」「一生懸命努力すること」というポジティブな意味です。 |
| 用例 | (誤)「解放軍の前で粉骨砕身になる」 | (正)「会社の発展のために粉骨砕身の努力をする」 |
| 結果 | 意図した脅しとは逆に、日本語の誤用として面白がられ、ネタにされる原因になりました。 | この言葉自体にネガティブな意味合いは本来ありません。 |
中国外交部ジェネレーターに対する台湾の反応・なんJの反応まとめ!
中国からの外交的・軍事的圧力を日常的に受けている台湾のネットユーザーにとって、日本のユーザーが脅しをユーモアで切り返す姿は、痛快に映ったようですし、日本の「なんJ」などの匿名掲示板でも、この一連の流れは格好の娯楽として消費されました。
口コミ割合
面白がる・ネタにする声: 70%
日台連帯・共闘感: 20%
政治的・冷めた視点: 10%
口コミまとめ

台湾のネットユーザーの反応として代表的なものを紹介します。
一方で、なんJなど日本のネットユーザーの反応としては以下のようなものが見られました。

Q&A

- 「中国外交部ジェネレーター」って、結局なんだったんですか?
2025年11月に中国外交部や国防部がX(旧Twitter)に投稿した、日本への警告文が書かれた画像を元ネタにして、誰でも簡単に同じデザインのパロディ画像を作れるようにしたウェブサイトのことです。好きな文字を入力するだけで、あの特徴的な赤黒いや青い背景の画像が生成できるため、ネット上で大喜利のように使われ、一大ブームになりました。
- なんでそんなに流行ったんですか?
理由はいくつか考えられます。まず、元になった警告文の言葉遣いが非常に威圧的だった一方で、「粉骨砕身」のような日本語の明らかな誤用があり、そのギャップが面白がられたことです。また、デザインが特徴的で真似しやすかったこと、そして「大判焼外交部ジェネレーター」などのツールがすぐに登場し、誰でも手軽にパロディ画像を作れる環境が整ったことが大きいと思います。シリアスな国際問題をユーモアで返すという、ネット文化らしいカウンターが多くの人に受け入れられたのです。
- このジェネレーター、今はもう使えないって本当ですか?
いくつかのジェネレーターのうち、一部は作者自身によって公開が停止されたり、注意書きが追加されたりしたようです。作者のサイトには「特定の人や団体を茶化したり揶揄したりして相手を不快にするような使い方は厳禁です」といった注意書きが追記されました。これは、本来のユーモア目的から逸脱して、単なる誹謗中傷に使う人が現れたため、作者が意図しない使われ方を懸念したからだと考えられます。ただ、複数のジェネレーターが同時多発的に作られたため、すべてが利用できなくなったわけではないようです。
- 昔も似たような「模擬器(シミュレーター)」があったと聞いたのですが、それとは違うのですか?
実は、2019年頃に「耿爽模擬器(Geng Shuang Emulator)」というものが中国のネット上で流行しました。これは、当時の中国外交部報道官だった耿爽氏の、いつも同じような画一的な受け答えを皮肉って、キーワードを入れるとそれっぽい抗議声明文を自動で生成する「テキストベース」のツールでした。今回のジェネレーターが「画像」を生成するのに対し、「耿爽模擬器」は「文章」を生成する点で異なります。しかし、中国の公式発表を「テンプレート」と見なしてユーモアの対象にする、という発想の原点とも言える存在なのです。今回の騒動は、その文化が画像ミームという新しい形に進化したものと捉えることができるかもしれません。
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