2020年に週刊少年ジャンプで連載が開始され、わずか19話で幕を閉じたダークファンタジー漫画『魔女の守人』。
連載当初から、その設定や描写が他の人気作品に似ているという声が多く上がり、ネット上で大きな話題となりました。
しかし、その短い連載期間の裏には、単なる「パクリ疑惑」だけでは片付けられない、根深い問題があったようです。
魔女の守人にパクリ疑惑?似ている作品比較!

『魔女の守人』は、連載開始直後から多くの漫画ファンに「どこかで見たことがある」という感覚を抱かせました。
その世界観やキャラクター設定、技の描写などが、数々の大ヒット作を彷彿とさせたからです。
鬼滅の刃
まず比較対象として最も多く声が上がったのが、同じく週刊少年ジャンプで絶大な人気を誇った『鬼滅の刃』で、技のネーミングスタイルが酷似していると話題になりました。
『魔女の守人』の主人公ファフナが初めて披露する技は、「騎士抜刀術、一ノ技『双式ノ構エ』」というもの。
『鬼滅の刃』で使われる「〇〇の呼吸 〇ノ型 〇〇」という形式と構成がそっくりです。
属性、型番、技名という三段構成は、多くの読者が『鬼滅の刃』を連想する原因となったようです。
ただ、この『双式ノ構エ』は構えであって技ではなく、しかも両刃剣と鞘を構えるという実用性に乏しいものでした。
この技が作中で使われたのはこの一度きりであり、「ニノ技」以降が登場することはありませんでした。
この点から、単に形式を真似ただけで、作品の世界観に深く根付いた設定ではなかったのではないか、という厳しい意見も見られます。
| 比較項目 | 魔女の守人 | 鬼滅の刃 |
|---|---|---|
| 技の呼称 | 「騎士抜刀術、一ノ技『双式ノ構エ』」など、「属性・番号・技名」の構成が特徴です。 | 「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」など、「呼吸・番号・技名」の構成が基本となっています。 |
| 主人公の目的 | 魔女マナスファを人間に戻す方法を探す旅に出ます。 | 鬼になった妹の禰豆子を人間に戻す方法を探すことが物語の大きな軸です。 |
| 読者の反応 | 技名の類似性から「パクリっぽい」という声が多く上がりました。 | 独自の呼吸法という設定が確立されており、多くのファンに支持されています。 |
魔法少女まどか☆マギカ
次に、ダークファンタジーの傑作として名高いアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。
これは、物語の根幹をなす「魔女」という存在の定義に関わる部分です。
『魔女の守人』の世界では、人々を魔物「魔(イビル)」から守る存在である「魔女」は、その力の代償として、いずれ自らも「魔」に変異してしまう宿命を背負っています。
魔女が変異する前に、護衛である「守人」がその命を絶つのがルールでした。
この「人々を守る魔法の力を持つ少女が、最終的には人類の敵となる」という設定は、『魔法少女まどか☆マギカ』における「魔法少女が戦い続けた果てに、絶望して魔女になる」という衝撃的な設定と重なります。
また、ヒロインである魔女マナスファの二つ名が「焔(ほむら)の魔女」であることも、『まどマギ』の主要キャラクター「暁美ほむら」を連想させると話題になりました。
こうした悲劇的な構造は、物語に深みを与える要素となり得ますが、『魔女の守人』ではこの設定を十分に活かしきれなかったという印象を持つ読者も少なくなかったようです。
| 比較項目 | 魔女の守人 | 魔法少女まどか☆マギカ |
|---|---|---|
| 魔女の宿命 | 人々を守る魔女は、いずれ自身も魔物「魔(イビル)」になってしまう運命です。 | 人々のために戦う魔法少女は、ソウルジェムが濁りきると絶望し、自らが魔女になってしまいます。 |
| 守る者と守られる者 | 守人であるファフナが、魔女になる運命のマナスファを守ろうとします。 | 暁美ほむらが、過酷な運命から鹿目まどかを守るために何度も時間を繰り返します。 |
| 物語のテーマ | 過酷な運命への抵抗や、世界の理不尽さに立ち向かうことがテーマの一つと考えられます。 | 希望と絶望の相転移や、自己犠牲といった重厚なテーマが文学的とまで評されています。 |
進撃の巨人
最も象徴的で、連載2話目にしてネットを炎上させるきっかけとなったのが『進撃の巨人』との比較です。
物語の舞台は、高い城壁に囲まれた「バーン市国」。
人類が謎の魔物「魔(イビル)」の脅威から身を守るために壁の中で暮らすという設定は、『進撃の巨人』の壁に囲まれた人類の世界と酷似しています。
主人公ファフナが「痛みの味を思い出せるルーティン」として親指の付け根を噛むシーンは、『進撃の巨人』の主人公エレン・イェーガーが巨人化する際に手を噛む行為を彷彿とさせます。
極めつけは、城壁からの脱出シーンで、ロープを使って壁を飛び越える描写が、『進撃の巨人』の「立体機動装置」を強く連想させると、多くの読者からツッコミが入りました。
これらの要素が重なったことで、「オマージュ」や「パロディ」の域を超えていると感じる読者が続出し、ネット上では「パクリ漫画」というレッテルが貼られてしまったのです。
| 要素の深掘りと批評 | 解説 |
|---|---|
| 世界観の説得力 | 『進撃の巨人』の壁は、巨人の侵入を防ぐという明確な機能と、人類の自由を奪う象徴としての意味を持っています。一方、『魔女の守人』の壁や街の構造は、防御拠点として非効率に見える部分があり、世界観の作り込みの甘さを指摘する声がありました。 |
| キャラクターの動機 | ファフナの「魔を駆逐する」という動機は、エレンの「巨人を駆逐する」という動機と重なります。しかし、物語が進むにつれてファフナの当初の目的が曖昧になり、キャラクターの行動原理が一貫していない印象を与えてしまいました。 |
| 独自性への昇華 | 人気作の要素を取り入れること自体は珍しくありません。しかし、それを自作品のテーマと融合させ、新たな価値を生み出せるかが重要です。『魔女の守人』の場合、取り入れた要素が表層的で、物語の面白さに繋がっていなかったのが大きな課題だったと思われます。 |
魔女をまもる。
『魔女をまもる。』は、『魔女の守人』と同じく「魔女」と、その護衛役である「騎士」の関係性を描いた作品。
タイトルも非常に似ており、混同されることも少なくありません。
この作品もまた、魔女が社会から特別な存在として扱われ、その力ゆえに過酷な運命を背負わされるという点で共通していますが、『魔女をまもる。』は、よりキャラクターの内面や関係性の変化に焦点を当てた丁寧なストーリーテリングが評価されています。
一方で『魔女の守人』は、壮大な世界観や派手なアクションを描こうとしたものの、展開が性急で、キャラクターの心情描写が追いついていないという印象がありました。
| 比較項目 | 魔女の守人 | 魔女をまもる。 |
|---|---|---|
| 物語の焦点 | 世界の謎や魔(イビル)との戦いといった、壮大なファンタジー要素が中心です。 | 魔女と騎士、二人の関係性や心の機微を丁寧に描くことに重点が置かれています。 |
| 作風 | ダークファンタジーでありながら、時折シュールなギャグやツッコミどころが挿入されます。 | シリアスで切ない雰囲気で物語が進行し、読者の感情に訴えかけます。 |
| 読後感 | 多くの謎が未解決のまま終わり、消化不良感を覚える読者が多いようです。 | 物語として一つの区切りがついており、感動的な結末が評価されています。 |
魔女と騎士は生きのこる
こちらも「魔女」と「騎士」を主役にしたファンタジー作品。
『魔女と騎士は生きのこる』は、タイトルが示す通り、絶望的な状況下で魔女と騎士がどう生き残るかというサバイバル要素が強い物語です。
『魔女の守人』も、国から追われる身となり、逃亡劇を繰り広げるという点ではサバイバル要素がありますが、『魔女と騎士は生きのこる』が極限状態での知恵や覚悟をシビアに描いているのに対し、『魔女の守人』の逃亡生活はどこか緊迫感に欠ける部分があったかもしれません。
追手との戦闘においても、主人公たちが最強クラスの設定のはずが、なぜか苦戦を強いられるなど、キャラクターの強さの描写にブレが見られました。
こうした設定の不安定さが、物語への没入感を削いでしまった可能性があります。
| 比較項目 | 魔女の守人 | 魔女と騎士は生きのこる |
|---|---|---|
| サバイバルの過酷さ | 逃亡劇が描かれますが、都合の良い展開や設定の矛盾が散見され、緊張感に欠けるという指摘があります。 | 絶望的な状況下で、知恵と勇気を振り絞って生き抜く姿がリアルに描かれています。 |
| キャラクターの成長 | 短期打ち切りのため、主人公たちの内面的な成長が十分に描かれたとは言い難いです。 | 過酷な経験を通じて、主人公たちが精神的に、また関係性において成長していく過程が魅力です。 |
| 世界観のリアリティ | ファンタジーの世界でありながら、地理や国家の設定に矛盾点が指摘されることがありました。 | 緻密に練られた世界観と設定が、物語にリアリティと深みを与えています。 |
やっぱり打ち切りなの?なんJ・SNSを徹底調査

『魔女の守人』は、最終的に全19話、単行本3巻という短い期間で連載を終了し、多くの読者にとって「打ち切り」であると受け止められています。
では、なぜ打ち切りに至ってしまったのでしょうか。パクリ疑惑だけが原因だったのでしょうか。
なんJやSNSでの反応を調査すると、打ち切りの原因は「パクリだから」というよりも、「漫画として純粋に作り込みが甘かったから」という意見が圧倒的に多いことがわかります。
読者からは、数多くの「ツッコミどころ」が指摘されていました。
- 覚えにくいキャラクター名
主人公ファフナ、魔女マナスファ、従者ナータと、「ファ」や「ナ」の音が被っており、混乱を招きやすい。 - 矛盾だらけの世界観
最前線の軍事拠点であるはずのバーン市国が、辺境の地として扱われるなど、設定に一貫性がなく、魔女の力も、塔の魔法陣によるバフありきのものだったことが後から判明し、「すごいのは塔の方では?」とのツッコミも。 - 意味不明な展開
物語の根幹であるはずの「魔(イビル)をどうするのか」という問題や、「魔女を人間に戻す方法」といった重要なテーマが、非常に唐突かつ安易な形で解決され、多くの伏線が未回収のまま終了。
最終回は数年後へといきなり時間が飛び、読者が知らないはずの出来事を前提に話が進むなど、唐突な展開に困惑の声も。 - 独特すぎる演出
「ヲヲヲ」という独特な擬音や、唐突に手書きで挿入される「In the bathroom.」といった英語のセリフなど、作者の独特なセンスが「シュールで面白い」とネタにされた。
『魔女の守人』は、他の作品に似ているかどうか以前に、一つの物語としての完成度に多くの課題を抱えていたと考えられます。
週刊連載という厳しい環境で読者の心を掴み続けるには、一貫したストーリーラインと、毎週「次が読みたい」と思わせる魅力が必要不可欠ですが、残念ながらその基準には達していなかった、というのが多くの読者の総意のようです。
深掘りした内容や打ち切り理由についてはこちらにまとまっています。

向いている人
これまでの評価を見ると、多くの欠点が指摘されている『魔女の守人』ですが、それでも一部の読者からは「絵が好き」「なんだかんだで楽しめた」という声も上がっています。
では、どのような人に向いている作品なのでしょうか。
- 短期連載で完結するダークファンタジーを読みたい人
- ツッコミを入れながら漫画を読むのが好きな人
- 伝説の打ち切り漫画として、逆に興味がある人
- 坂野旭先生の美麗なキャラクターデザインが好きな人
- ネットのネタとして語り継がれる作品に触れてみたい人