UNISON SQUARE GARDENの楽曲には、アニメや漫画、映画などをモチーフに「勝手に主題歌を作る」という手法で制作されたものが数多く存在します。
「flat song」もその一つとして知られ、ファンの間ではその元ネタについて様々な考察が交わされてきました。
2017年にリリースされたシングル「10% roll, 10% romance」のカップリング曲でありながら、その優しいメロディと心に響く歌詞で、多くのファンに愛され続けている隠れた名曲です。
flat songの元ネタは?

元ネタは青桐ナツの漫画『flat』
「flat song」の元ネタとして最も広く知られているのは、青桐ナツさんによる漫画『flat』です。
この漫画は、甘いもの好きでマイペースな高校生・平介(へいすけ)が、我慢強くしっかり者の従兄弟・秋(あき)の面倒を見ることになり、二人の交流を通じて平介が少しずつ成長していく姿を描いた心温まる物語です。
劇的な事件が起こるわけではなく、二人の何気ない日常がゆるやかに描かれているのが特徴で、その穏やかな世界観が「flat song」の雰囲気と見事に合致するためです。
実際に歌詞を見てみると、この説の信憑性はさらに高まります。
例えば、「まだ幼い君の心に合わせようとしゃがみかけてさ ちょっと かかと 浮かすよ すぐ大きくなるだろうから」という一節は、高校生の平介が保育園児の秋と目線を合わせようとする情景を鮮やかに描き出しています。
また、「僕のこぼした1が君の100になるから 軽はずみ病の心 ウソツキはだめだね」という歌詞は、自分の何気ない言動が純粋な秋に大きな影響を与えてしまうことへの、平介の戸惑いや責任感を表現していると解釈できます。
歌詞の随所に漫画の登場人物の関係性や心情を彷彿とさせる描写が散りばめられていることが、この説が有力である最大の理由なのです。
曲の持つミディアムバラード調の優しい雰囲気も、作品全体の穏やかな空気感と完璧に調和していると言えるでしょう。
| 歌詞のフレーズ | 漫画『flat』における描写 | 考察 |
|---|---|---|
見上げる君の正面から / 小さな目に目を合わすよ | 高校生の平介と保育園児の秋には大きな身長差があります。 | この歌詞は、二人の物理的な身長差と、平介が秋の目線に立とうとする優しさを表現していると考えられます。 |
僕のこぼした1が君の100になるから | 平介の些細な言動に、秋が一喜一憂する場面が描かれています。 | 大人の何気ない一言が、子供の世界ではすべてになってしまう。その危うさと愛おしさを歌っていると思われます。 |
日常を乱す悪魔いるのは知ってるから | 漫画では大きな事件は起きず、平穏な日常が丁寧に描かれます。 | この「悪魔」とは、二人の穏やかな日常を壊しかねない外部の出来事や、平介自身の未熟さを指しているのかもしれません。 |
音楽用語としての「flat」が持つ意味を内包?

漫画『flat』が元ネタであることはほぼ間違いないと思われますが、作詞作曲者である田淵智也の言葉選びの巧みさを考えると、タイトルにはもう一つの意味、つまり音楽的な意味合いも込められている可能性が非常に高いです。
あまり語られていない専門的な観点からの考察になります。
音楽の世界で「flat(フラット)」は、音を半音下げる記号(♭)を指します。
そして、フラットが多くつく調(変ニ長調や変ト長調など)は、一般的に「柔らかい」「落ち着いた」「憂いを帯びた」といった印象を与えるとされています。
「flat song」が持つ、優しくもどこか切ないメロディラインや、全体を包む穏やかな雰囲気は、まさにこのフラット系の調が持つ性格と一致するのです。
この曲は派手な転調を避け、比較的「平坦(flat)」な曲構成になっていますが、その基調となっているサウンドスケープが、タイトルによって暗示されていると考えるのは自然なことだと思います。
歌詞に「ミファソラシド 声に出してごらんよ」というフレーズが登場しますが、単なるおまじないの言葉ではなく、音楽の根幹をなす「音階」そのものです。
田淵智也は、意図的に音楽的な要素を歌詞に盛り込むことで、この曲が単なる物語の主題歌にとどまらず、一つの音楽作品として独立したテーマを持っていることを示唆しているのではないでしょうか。
つまり、「flat song」というタイトルは、元ネタである漫画『flat』の「平坦で穏やかな日常」という意味と、楽曲自体が持つ「フラット系の調性に基づいた落ち着いた曲」という音楽的な意味の、二重のメタファーになっていると考えられるのです。
flat songに対する印象を調査!
「flat song」はカップリング曲でありながら、ファンからの人気が非常に高い一曲です。
SNSやライブの感想などを調査したところ、この曲に対する印象は主に以下の4つに分類され、その割合は下記のようになりました。
- 優しい・落ち着く・癒される: 45%
- 歌詞が良い・泣ける: 30%
- ライブで聴けて嬉しい・特別感: 20%
- ユニゾンらしくない新鮮さ: 5%
肯定的な意見が大多数を占めており、特にその優しい曲調と心温まる歌詞が高く評価されていることがわかります。
口コミとしては、以下のような声が多く見られました。
概要をおさらい
「flat song」は、日本の3ピースロックバンド、UNISON SQUARE GARDENの楽曲です。
2017年8月9日にリリースされた11枚目のシングル「10% roll, 10% romance」のカップリング曲として収録されています。
作詞・作曲はベースの田淵智也が手掛けています。
ファンからは「優しい音像のミディアムナンバー」として親しまれており、その美しいメロディと心温まる歌詞で高い人気を誇ります。
ライブでは定番曲ではありませんが、ツアーのセットリストに含まれるとファンが非常に喜ぶ、隠れた名曲としての地位を確立しています。
向いている人
「flat song」は、UNISON SQUARE GARDENの新たな一面に触れたい人や、日常の温かさを感じたい人に特におすすめの楽曲です。
この曲が心に響くのは、きっと次のような人たちでしょう。
- UNISON SQUARE GARDENのロックな曲だけでなく、優しい一面も知りたい人
- 日常の何気ない幸せを大切にしたいと思っている人
- 心温まるストーリーや人間関係を描いた作品が好きな人
- 歌詞をじっくりと味わいながら音楽を聴きたい人
- 隠れた名曲やカップリング曲を発掘するのが好きな人
Q&A
- 「flat song」の元ネタは公式に発表されていますか?
いいえ、公式に「この漫画が元ネタです」と明言されたことはありません。しかし、2022年のファンクラブツアー「Bee-side Sea-side」の演出で、ラジオ番組風のコーナーがあり、リクエスト曲として「flat song」が流れた際に、作詞作曲者である田淵智也が「勝手に漫画やアニメをモチーフにした楽曲を作るという手法をやる上で非常に良い経験になった曲」とコメントし、暗に元ネタの存在を認めました。このことから、ファンの間では青桐ナツの漫画『flat』が元ネタであるという認識が確固たるものになっています。
- 「flat song」はどこで聴けますか?
この曲は、UNISON SQUARE GARDENの11thシングル「10% roll, 10% romance」の2曲目に収録されています。CDを購入する以外にも、Apple MusicやSpotifyなどの各種音楽ストリーミングサービスで聴くことが可能です。また、ライブ映像作品には収録されていませんが、ごく稀にライブで演奏されることがあります。
- 歌詞に出てくる「roof」「height」「word」などの英単語にはどんな意味が込められていると考えられますか?
これはあくまで歌詞からの解釈になりますが、これらの英単語は、元ネタとされる漫画『flat』の主人公、平介と秋の「距離感」を象徴するキーワードとして機能していると考えられます。
- roof (屋根)
「いつの間に同じ場所に立って」という歌詞に続き、二人が同じ屋根の下で過ごすようになった状況を示していると思われます。 - height (高さ、距離)
「その距離差 心も映すかな」とあり、高校生と園児という二人の物理的な身長差と、まだ完全には分かり合えない心の距離の両方を表現しているのではないでしょうか。 - word (言葉)
「不器用を言い訳にして君を迷わせるよ」と続くことから、平介の不器用な言葉が、純粋な秋を混乱させてしまうコミュニケーションの難しさを象徴していると考えられます。
- roof (屋根)
- 他に漫画や映画が元ネタになっているUNISON SQUARE GARDENの曲はありますか?
はい、たくさん存在します。田淵智也さんは「勝手に主題歌シリーズ」と称して、様々な作品からインスピレーションを得て楽曲を制作しています。代表的なものとしては、漫画『ひるなかの流星』を元にした「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」、漫画『椿町ロンリープラネット』が元の「弥生町ロンリープラネット」、志村貴子の漫画『放浪息子』に影響を受けた「僕は君になりたい」などがあります。映画『ラ・ラ・ランド』をモチーフにした「夢が覚めたら(at that river)」なども有名です。
- この曲の音楽的な特徴で、他に特筆すべき点はありますか?
斎藤宏介さん(Vo/Gt)と鈴木貴雄さん(Dr)によるコーラスワークの美しさが挙げられます。サビで幾重にも重なるコーラスは、曲の持つ優しさや温かみを際立たせる重要な要素となっています。また、一聴するとシンプルに聞こえますが、ベースラインは田淵智也さんらしく非常によく動き、メロディアスなフレーズで楽曲のボトムを支えつつ、曲に彩りを加えています。あるファンは「オーケストラとやっても映えるだろうな」と評しており、シンプルな構成の中に壮大さのポテンシャルを秘めた楽曲であるとも言えるでしょう。







