多くの人がテレビやインターネットで見かけるCMには、思わず印象に残るものが数多く存在しますよね。
なかでもACジャパンのCMはインパクトが強く、時に「怖い」と評されることがあるようです。

(出典:Google)
ACジャパンCMが怖い理由4選。トラウマになるとの声も
見かけるたびに意味深で、考えさせられるものが多く、心に残るACジャパンCMですが、なぜそこまで「怖い」とまで言われているのでしょうか。
ここでは主な理由や背景を取り上げて、より具体的な観点から迫ってみたいと思います。
怖い理由1:フジテレビ事件や災害時などACジャパンの同じCMばかりが流れるケースがあるため
テレビ番組でスポンサー企業のCMがすべて自粛され、代わりにACジャパンのCMが一挙に放送されたことってありますよね。
視聴者としては普段見慣れた企業CMが姿を消し、同じ種類の公共広告が何度も繰り返されることで、強い違和感や恐怖心を覚えるようです。
災害発生時やフジテレビなどテレビ局の不祥事による自粛ムードや株主、世論を汲み取り企業CMの出稿を一時ストップするケースがあります。
この際にCM枠が空いてしまうため、公益社団法人であるACジャパンのCMが大量に流れやすくなる構造が生まれます。
すると視聴者にとっては、明るい商品広告の代わりに社会問題を直視させるCMが連続する形になり、怖いと感じる人が一定数いるのです。
夜間や深夜帯にあまりにも同じCMが続くと、映像や音声を記憶に残しやすい人にとってはトラウマ的な感覚を誘発しやすいと考えられますね。
少し前の時代には「ポポポポーン」のCMが大量に流れた結果、子どもたちや一部の大人が強い印象を受けたというエピソードがありました。
繰り返し視聴するうちに映像と音声が刷り込まれ、不気味さを強く感じる方が続出したのではないでしょうか。
怖い理由2:「ストップ温暖化」シリーズの砂像が崩れるシーンなど不協和音や不気味なBGMが怖いため
深刻な社会課題の一つとして「温暖化問題」をテーマにしたACジャパンのCMは、強い衝撃を与える演出が特徴的ですよね。
そのCM内に登場する親子の砂像が崩れ落ちてしまう映像を「不気味」と感じた人もいるようです。
そこに不協和音のようなBGMが重なり、幻想的というよりも不安を煽る雰囲気を作り出していると考えられます。
このCMの背景には「温暖化が進むと、やがて取り返しのつかない事態になる」という警鐘の意味があると思われますが、一方でネガティブな表現手法が心に強く残る結果、「怖いCM」という評判が生まれたようです。
環境問題を喚起する映像は全体的に落ち着いた色合いになりがちですが、ACジャパンの場合はあえてコントラストの強い映像や耳障りな音を用いて、問題の緊急性を前面に打ち出しています。
こうしたディレクションは大人にとっては考えさせられる反面、子どもや感受性の強い人にとっては強度が高すぎて「怖い」と思うきっかけになっているのではないでしょうか。
感じ方は人それぞれでもちろん地球環境について考えさせる良いCMではあるものの「深刻な社会問題をアピールするための演出なのに、怖く感じてしまう」という印象を持つ人も一定数いるのです。
怖い理由3:社会問題の深刻さを強調する演出が他のCMと大きく異なるため
先ほどとやや被る内容になるのですが、
テレビCMといえば、明るく華やかで商品の魅力を短い時間で伝えるものが多いですよね。
しかしACジャパンのCMでは、楽しさや商品価値を全面に打ち出すわけではなく、社会問題や人々の無関心に警鐘を鳴らす視点が主体となっています。
だからこそ他のCMとは「映像のテイストや雰囲気」が大きく異なるのです。
深刻さを強調する演出の具体例には、以下のようなものがありますね。
こうした要素は視聴者に「こんなに恐ろしい事態になるのか」と実感させる効果がある一方で、「これはとても怖い」「気分が落ち込む」といった反応を引き起こしやすいのではないでしょうか。
社会課題に無関心な層にも強烈に訴えるために、意図的にネガティブなイメージ映像を使う手法は公共広告ならではなのです。
他CMが商品やサービスへの興味をかき立てることを目的としているのに対し、ACジャパンのCMは問題そのものへ関心を向けさせるための演出を採用していると思います。
その強い印象が人によっては「怖い」「不安」といった感情を抱かせるのです。
怖い理由4:「あいさつの魔法。」や動物キャラクターなど都市伝説があるため
「ぽぽぽぽーん」というフレーズを耳にしたことがある人も多いはず。
東日本大震災直後に大量放送された「あいさつの魔法。」CMは、可愛らしい動物キャラクターたちが挨拶を促す内容ながら、あまりにも繰り返しオンエアされたために不穏な噂が広がったと聞きます。
中には「あのキャラクターの名前を並べ替えると不吉な言葉になる」といった都市伝説を語る人もいたようです。
挨拶の掛け声をローマ字化して並べると「tsunami osou(津波 襲う)」に似ているのではないか、と話題にする方が出てきたりしましたね。
もちろん公式にはまったく根拠のない話ですが、震災の直後だったためにこうした連想をする人が少なくなかったのでしょう。
また「おかえり」「いってきます」など一方通行の挨拶を多用していて、返事がない場面が不気味だとも言われました。
子ども向けの柔らかいタッチと見せかけて、じつは何かを暗示しているかのように受け取られたのが理由だと思われます。
放送時期が震災直後だったことが、より都市伝説を広まりやすくしたのではないでしょうか。
ACジャパンの怖いCM一例
色々な考えさせられる良いCMがあるのですが「怖い」と感じる人が多い作品は下記のようです。
普段のCMとは全く異なるトーンで、社会問題を厳かに突きつけている特徴が目立つCMは怖いと感じる人が多い傾向にあるようです。
ACジャパンの怖い噂はCMだけじゃない?収入源や天下りの噂とは
公共広告でありながら頻繁にテレビで見かけるACジャパンですが、その運営資金はどこから来るのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
ここでは会費の仕組みや広告枠の扱いについて見ていきます。
会員からの会費
まず大きな柱になっているのが、会員企業や個人からの会費です。
ACジャパンは政府や自治体などから補助金を受け取ることなく、完全に企業や個人の会費で成り立っていますね。
広告代理店やテレビ局、新聞社などの正会員は年12万円の口数制を採用しており、千社を超える会員が資金面を支えています。
また個人会員も存在し、年間60,000円の会費を払って活動を応援している方も多いそう。
項目 | 正会員 | 賛助会員 |
---|---|---|
会員資格 | 企業・団体などの法人 | 正会員の事業所 |
会費 | 年会費1口 120,000円(何口のお申込みでも可) | 年会費1口 60,000円(何口のお申込みでも可) |
会員特典 |
・社員総会にご出席いただき、議決権が行使できます。 ・ACジャパンのホームページに会員社名が掲載されます。 ・会報誌「ACジャパンレポート」をお届けします。(年4回程度) |
・委員会活動などに参加いただけます。 ・会報誌「ACジャパンレポート」をお届けします。(年4回程度) ※賛助会員は正会員ではありませんので、社員総会への参加資格(議決権)はありません。総会後の懇親パーティーに参加いただけます。 |
入会方法 |
資料請求ならびに入会方法については、最寄りの事務局までお問い合わせください。 |
大きな企業だけでなく個人も参加できる仕組みなのですね。
会費を原資に運営費をまかなうため、CM制作や運営上の独立性が保たれていると説明されることが多いようです。
このため特定の企業に肩入れしたり、政治的バイアスがかかりにくい運営が可能なのだと考えられます。
広告枠は無償提供
ACジャパンのCMが多く流れていても、実際には広告料が払われているわけではありません。
テレビ局や新聞社などのメディア会員社が広告枠を無償提供しており、それを利用してCMを流す仕組みなのですね。
災害時や不祥事時の企業CM自粛で生まれた空き枠にも、公共広告を差し替えとして入れることが可能なのです。
CM枠が無料で使えるのは、公共広告として認められているからこそであると思われます。
これにより、最低限の制作費用や事務費用だけで社会に向けた啓発活動を幅広く行えるというメリットがあるようです。
だからこそ大量放送ができるわけで、その分だけ「怖い」と感じる方もいるのではないでしょうか。
ACジャパンの天下りの噂が怖い?
公共的な意義をもつ団体というイメージがある一方で、「天下り先なのでは」という声が聞こえてくることもありますよね。
なぜそうした噂が生じるのでしょうか。
フジテレビや経団連などの幹部が役員として参加している
まず指摘されるのが、広告業界やメディア業界の大物が多数役員を務めているという点です。
フジテレビの幹部や経団連の要職を歴任した方が理事に名を連ねるケースがあるようです。
いわゆる官僚出身の「行政から民間への天下り」とは異なりますが、業界内部では大手企業の重役などが「セカンドキャリア」として参加しているのではないかという見方があるのです。
巨大な広告代理店やテレビ局、新聞社の相談役・役員が集結することで「業界の利権団体ではないか」と思われてしまうことも考えられますね。
もともとACジャパンは1971年に「関西公共広告機構」として発足し、その後「公共広告機構」を経て現在に至ります。
広告業界が深く関わる仕組みなので、大手メディアの幹部が理事や副理事長を務める構造自体はある種の必然と言えるかもしれません。
ただし、実際の活動内容は行政補助を受けているわけではなく、企業や個人の会費で維持している以上、公的機関からの天下りという指摘は成り立ちにくいようですね。
むしろ広告会社の役職経験者が名を連ねる「業界の集合体」という実態が噂の源になっているようです。
役員一覧
2024年6月時点の理事長はサントリーの副社長などを務める鳥井信宏氏で、副理事長には電通やテレビ朝日、河北新報社のトップクラスが参加しているのです。
2024年6月の内容にはなりますが以下のような役員構成が見られます。
役職 | 名前 | 所属 |
---|---|---|
理事長 | 鳥井 信宏 | サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副社長 |
副理事長 | 石井 直 | 株式会社電通 相談役 |
副理事長 | 一力 雅彦 | 株式会社河北新報社 代表取締役社長 |
副理事長 | 角南 源五 | 株式会社テレビ朝日 取締役副社長 |
専務理事 | 西部 憲一郎 | 公益社団法人ACジャパン 専務理事 ※ |
常務理事 | 佐藤 隆之 | 公益社団法人ACジャパン 常務理事 ※ |
理事 | 朝日 智司 | 日本生命保険相互会社 代表取締役副社長執行役員 |
理事 | 阿部 敬人 | 三菱電機株式会社 執行役員 宣伝部長 |
理事 | 池田 雅章 | 関西電力株式会社 執行役常務 |
理事 | 泉 恭雄 | 株式会社大広 代表取締役社長執行役員 |
※2024年6月6日時点
こうした面々が揃っているため、「経団連などの天下り先」という誤解を受けやすいのではないでしょうか。
実態としては官僚OBよりも大手企業の重鎮が多く、厳密な行政天下りとは異なるようです。
会費を出す正会員企業が多いため、その幹部が理事などに就任し、CM内容やキャンペーン方針を協議している仕組みだと言えますね。
このように誤解を生みやすい役員構成は、業界トップクラスを結集して効果的に社会問題を啓蒙しようとする団体の設計上の特色なのです。
多くのメディアを巻き込んで公共広告を流すにあたって、各社の代表が参画するのはある意味自然かもしれません。
結果として「天下りでは?」と疑われる背景が見えてくるのではないでしょうか。