2023年4月13日未明、千葉県松戸市のマンションで17歳と18歳の女子高生2人が転落死しました。

2人はライブ配信をしながら最上階から飛び降りており、その動画がX(旧Twitter)やYouTubeで急拡散。
事件後には、2人のうち1人が当時15万人規模のチャンネルを持つゲーム実況系YouTuberの「ピャスカル」と交際トラブルを抱えていたことが判明し、大きな波紋を呼びました。
本記事では報道・SNS・当事者の証言をもとに事件の全体像を整理し、同様の悲劇が繰り返されないための注意点をまとめます。
松戸マンション転落事故、2人の女子高生に何が起きたのか【結論】

結論から言えば、この事件は恋愛トラブルと精神的追い詰めが重なった末の悲劇であり、SNSとYouTuberという現代特有の構造が絡んでいました。
1人は17歳で「ピャスカル」という人気YouTuberと交際しており、別れ際に弁護士の名前を使った口止め(脅し)を受けていたことが、配信者コレコレの番組で明らかになっています。
もう1人はその友人でした。
2023年4月13日午前3時55分ごろ、千葉県松戸市松戸にある10階建てマンションの最上階から2人は転落。
住人の男性が敷地内で倒れている2人を発見し110番通報しました。
1人は発見時すでに死亡、もう1人も搬送先の病院で死亡が確認されました。
警察(松戸署)は事件性はないと判断し、自殺を図ったとみて調べました。
転落前、2人はスマートフォンでSNSのライブ配信をしており、マンション最上階のテラス付近には制服の上着・靴・スマートフォンがそれぞれ2人分残されていました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日時 | 2023年4月13日 午前3時55分ごろ |
| 場所 | 千葉県松戸市松戸 JR松戸駅から南東約1km、10階建てマンション |
| 被害者 | 松戸市内在住の17歳女子高生(ピャスカルの元交際相手)と新潟県在住の18歳女子高生(友人) |
| 発見者 | マンション住人の男性(110番通報) |
| 2人の状態 | 1人は発見時死亡・1人は病院搬送後死亡 |
| 警察の判断 | 事件性なし(自殺を図ったとみて捜査) |
| 現場に残されたもの | 制服の上着、靴、スマートフォン(2人分) |
| 周辺住民の証言 | 「バン」という衝撃音を聞いた |
事件に至るまでの経緯、YouTuberピャスカルとの交際トラブルとは

事件の発端は、17歳の女子高生がゲーム実況者「ピャスカル」との関係に悩んでいたことにあります。
ピャスカルは当時22歳で、登録者約15万人のYouTubeチャンネルを持ち、「原神」などのゲーム実況で知られる配信者でした。
17歳の女性は事件の2日前、4月11日に暴露系配信者として知られる「コレコレ」に相談を寄せていました。
コレコレはこの問題を翌12日の配信で取り上げる予定でしたが、女性に対してまずはピャスカルとの接触を避けるよう指示。
しかし12日、女性はピャスカルと直接会い、その場で再び弁護士の名前を使って口止めをされたとされています。
コレコレが12日の配信中、女性から不穏な内容のLINEが届き、直後に転落が起きました。
配信はそのまま続き、コレコレはピャスカルと直接電話をつなぎました。
ピャスカルは交際の事実を認め、「脅すつもりはなかった」と弁明。
女性の状況を知らされると大号泣し、活動の無期限休止を表明しました。
コレコレはピャスカルについて「未成年と知りながら関係を持ち、避妊もしなかった」「弁護士の名前で脅した事実を謝罪文に書いていない」と強く批判しました。
「12日に配信しておけばよかった」と悔しさをあらわにしました。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年4月11日 | 17歳女性がコレコレに「ピャスカルとの交際トラブル」を相談 |
| 4月12日 | コレコレが配信予告。女性はピャスカルと会い再び口止めされる |
| 4月12日深夜〜13日早朝 | 女性からコレコレに不穏なLINE → 直後にマンションから転落 |
| 4月13日 午前3時55分 | 住人が発見・110番通報。1人は死亡、1人は病院搬送後死亡確認 |
| 4月13日 | ピャスカルがYouTubeチャンネルと動画を全削除 |
| 4月13〜14日 | 読売新聞・FNN・千葉日報など各社が報道。XとYouTubeで動画が急拡散 |
| 4月14日 | ピャスカルがXで謝罪文を投稿 → 「悲劇のヒーロー気取り」と炎上 |
| 4月14日以降 | ピャスカルから被害を受けたとする複数の女性がコレコレに告発。炎上が拡大 |
「タイムラインに流れてきた」ライブ配信動画の拡散が引き起こした二次被害

この事件でとりわけ深刻だったのは、転落の様子を撮影したライブ配信動画が事件後もSNSで広く残存・拡散したことです。
XのタイムラインやYouTubeのショート動画として「おすすめ」に表示されたという投稿が多数あり、意図せず目にしてしまったユーザーが精神的なダメージを受けるという二次被害が起きました。
Xでは「朝からTLに流れてきて情緒をえぐられた」「後ろ向きに行くのが怖い」「見てしまった、何も言えない」という声が相次ぎました。
特に10代・20代のユーザーが多く、同世代として衝撃を受けたという投稿が際立っていました。
このような被害が発生した構造的な原因として、次の2点が指摘されています。

一つは、プラットフォームのアルゴリズムです。閲覧数・反応数が多いコンテンツを自動的に広く表示するため、「見たくない人にも届く」という問題が起きます。
もう一つは、報告・削除の遅れです。
今回の動画はニコ動・Xなど複数のプラットフォームに転載され、一部は数日間削除されませんでした。
| 二次被害の種類 | 内容 | 主な影響を受けた層 |
|---|---|---|
| 意図しない視聴 | おすすめ・TLに自動で流れてきて目にしてしまう | 10〜20代を中心に幅広い年代 |
| 心理的ダメージ | 衝撃映像による精神的トラウマ・フラッシュバック | 特に10代・繊細なユーザー |
| 模倣行動リスク | 同様の行動を配信することへの心理的ハードル低下 | 同世代の孤立した若者 |
| 誤情報の拡散 | 加工・切り取りによるデマや不正確な「真相」が広がる | 経緯を知りたい全世代 |
「弁護士の名前で口止め」未成年との交際、YouTuberが果たすべき責任とは何か

この事件が単なる「失恋による自殺」と異なるのは、当時22歳の成人YouTuberが未成年女性との関係において複数の問題行為をとっていた点です。
コレコレが配信で明かした内容によれば、ピャスカルは未成年と知りながら肉体関係を持ち、別れに際して弁護士の名前を出して口止めを図ったとされています。
ピャスカルはその後Xに投稿した謝罪文でこれらの行為の詳細には触れず、「悲劇のヒーロー気取り」「自分が被害者のような文章だ」と多くのユーザーから批判されました。
SNSでは「殺人と同じ」「二度と活動するな」という声が上がる一方、ピャスカルを擁護する声もあり、コメント欄は紛糾しました。

事件後にはピャスカルから同様の被害を受けたとする複数の女性がコレコレに名乗り出て、炎上はさらに拡大しました。
ピャスカルはYouTubeの全動画・インスタグラムを削除しましたが、その後も「楽しくゲームをプレーしている」というフレンドからの証言が拡散し、反発を呼びました。
この件で多くの識者が指摘しているのは、「インフルエンサーと未成年ファンの非対称な力関係」です。登録者数という社会的権力を背景に持つYouTuberに、10代のファンが本当の意味で対等に向き合えるかどうか、制度的な保護の枠組みが追いついていないという問題があります。
| 問題点 | 詳細 | 法的・社会的観点 |
|---|---|---|
| 未成年との不適切関係 | 22歳のピャスカルが17歳の女性と交際・肉体関係 | 青少年保護育成条例違反の可能性(千葉県青少年健全育成条例) |
| 弁護士名を使った口止め | 別れ際に法的脅迫と受け取られる言動 | 脅迫罪・強要罪の可能性(刑法第222条・第223条) |
| 謝罪の不誠実さ | 問題行為に触れない謝罪文で「悲劇のヒーロー」化 | 二次加害として批判殺到 |
| インフルエンサーの権力構造 | 登録者数・知名度による非対称な影響力 | 未成年ファン保護の法整備が未追及 |
| 事件後の態度 | 活動削除後も私生活を継続、被害者告発が相次ぐ | 刑事・民事両面での責任が問われ得る |
「うちの子は大丈夫」が一番危ない、親と支援者が今日からできる具体的な注意点

この事件が示す最大の教訓の一つは、「問題はSNSの中で静かに深刻化していた」という点です。
17歳の女性が通っていた学校の担当者は「普段の様子に変わりはなかった」と語りました。
つまり外から見えるサインが出る前に、内側では限界を超えていたのです。
インターネット上でYouTuberや配信者と「交際」や「親密な関係」になるケースは、この事件に限りません。
SNSでの接触から始まり、DM・電話・リアルの接触へと発展するパターンは、「ゲーム実況者・Vtuber・TikToker」など幅広いジャンルで報告されています。
子どもが「推しと繋がれた」と感じるとき、相手側に全く保護の意識がない場合は深刻なリスクになります。

また、市販薬(OD)と転落の組み合わせという点も見逃せません。
ダイヤモンド・オンラインの2025年9月の特集によれば、女子高生を中心とした市販薬の乱用は依然として深刻であり、松戸の事件はその文脈の中に位置づけられています。
「死にたいわけじゃないけどODしてみた」という段階から、転落という取り返しのつかない選択へ発展するケースは少なくありません。
文部科学省の「子供のSOSの相談窓口」では、薬物乱用・いじめ・孤立など幅広い悩みに対応しています。
| リスクパターン | 具体的なサイン | まず取るべき行動 |
|---|---|---|
| 配信者・YouTuberとの接触 | DMで個別連絡・「会いに行く」発言・夜中のやり取り | 頭ごなしに禁止せず、関係性の詳細を穏やかに聞く |
| 市販薬ODの兆候 | 薬の大量購入・眠気や吐き気・Xで「OD」言及 | 市販薬の管理と、かかりつけ医への相談 |
| SNS上の孤立 | 深夜配信視聴・「死にたい」タグへの共感投稿 | スマホを取り上げるのではなく「一緒に見る」関係性 |
| 環境変化後の不安定 | 新学期後の食欲減退・登校渋り・急激な無気力 | 学校のSC(スクールカウンセラー)への早期相談(文科省SC配置事業) |
事件のその後と、それでも「若者の居場所」は確実に広がっている

ピャスカルはYouTube全動画・インスタグラムを削除し、Xで謝罪文を投稿しましたが、刑事事件にはなりませんでした。
その後の活動状況は不明ですが、事件は「インフルエンサーと未成年ファンの関係における保護の欠如」という問題を社会に広く問いかけました。
また2024年5月、同じ松戸市内の別のマンションでも成人男性と女子高校生の遺体が発見される事案が発生(千葉日報報道)。
松戸市に限らず、横浜市・愛知県など全国で10代に関わる同様の事案がSNSで報告され続けており、「個人の問題」ではなく「社会の構造問題」として認識されるようになっています。

一方で、確実に前進している動きもあります。2023年以降、文部科学省はスクールカウンセラーの配置拡充を進め、10代の市販薬乱用防止に向けた授業プログラムの導入が全国で進んでいます。
「よりそいホットライン」「チャイルドライン」などの相談窓口は、今やLINEやチャットでも相談できるようになり、「電話が怖い」10代にも届きやすくなっています。
X(旧Twitter)では「#生きてていい」「#誰かと話したい」などのタグを使ったピアサポートが若者自身の手で運営されており、深夜に孤独を感じた瞬間でも言葉を交わせる場所が生まれています。
悲劇を繰り返さないために、一人ひとりが「身近な誰かのSOSに気づける人」でいることが、最大の予防になります。
| 支援窓口 | 対象・特徴 | 連絡先・公式URL |
|---|---|---|
| よりそいホットライン | 24時間・無料・匿名、誰でも | 0120-279-338(公式サイト) |
| いのちの電話 | 無料・匿名、毎月10日は24時間対応 | 0120-783-556(公式サイト) |
| チャイルドライン | 18歳以下専用、チャット相談も可 | 0120-99-7777(公式サイト) |
| 子供のSOS相談窓口(文科省) | 学校・友人・家族の悩み全般 | 文部科学省公式ページ |
| 薬物乱用防止(厚労省) | 市販薬ODを含む薬物乱用全般 | 厚生労働省公式ページ |